第75話 まって、貯金が、貯金がぁぁぁ!
朝。『小川のせせらぎ亭』で目覚めた私は、貸してもらった桶で体を拭う。私の所持金では、お風呂にはいれるような宿に泊まることはできないのだ。
さて、所持品をチェックしよう。
まず、各種薬草とその種。時間と余裕があったら種から植物を育てたい。
次、ナイフ二本。一本は動物、もう一本は植物用だ。植物用のナイフは薬草採取位しか使っていない。
はい、次。着替え2着。少ないとか言わないで。この世界、洋服がすごく良いお値段するの。
下着とともに、似たような服を毎日洗っては着回しているため、お陰で雨が大嫌いになった。
次、リュックとポーチ。リュックは荷物を突っ込んでいる。かなり大きめのサイズだ。ポーチは薬を入れているもの。ポッケがたくさんあり、何かと便利だ。
次、薬。詳しく言えば、風邪薬19個、万能薬2個、低級ポーション34個、瞬発力強化薬21個、麻痺薬13個だ。風邪薬はそのうちどこかへ売ってしまおう。
はい、最後。財布。中身は、
一瞬大金持ちに見えるが、何も収益がなく旅を続けていれば一瞬で溶けてなくなってしまうだろう。気を付けないとね。
「とりあえず、図書館に行くか。」
荷物を整えた私は、ドアを押し開けた。
図書館で調べものをした結果、月の砂漠へ行くには直線でまっすぐ行く方法と、村を経由していく方法、大きな町を経由していく方法の三つがあることがわかった。
だが、少なくとも一つ目は却下だ。
何故って?危険だからに決まっている。
何なんだよ!何で森のど真ん中を突っ切っていくんだよ!食料も装備もなくなって死ぬわ!
急いでいかなければならないわけではない。安全第一でいこう。うん、そうしよう。
で、あと二つの道だが……。正直言って、どちらでも良い。
今のところ路金も時間も心の余裕もある。私の最終目的が日本に帰ることである以上、色々なところをめぐる必要がある。_______まあ、月の砂漠は私が行きたいだけだが。
「というか、この後どうしようか……。」
情報収集してみたところ、盗賊はどこにでもわいて出てくるらしい。台所によく出る黒光りする虫か。
「護衛がほしいな……。」
とりあえず、冒険者ギルドに行ってみるか。
「護衛ですか?どこまで行く予定でしょうか。」
そう聞く職員さんに、私は地図を指差しながら言う。
「南の都市、アモイかロゼの村までです。最終的に月の砂漠まで向かいたいので、途中まで護衛してくれる方を探しています。できるだけ安全なほうを行きたいと思っています。」
私がそう答えると、職員さんは紙を用意して何やら書き始める。
「なるほど……その距離でしたら、三日ほどかかりますので半金貨4枚程度ですね。パーティーでの護衛となりますので、一人頭小金貨1枚位の報酬額がちょうど良いかと。」
「食事はこちらが用意したほうが良いのでしょうか?」
「食事アリのほうが喜ばれますね。」
「なるほど………」
私は紙を見ながら考える。
高いかのように思えるが、命をかけるにはある意味当然の値段だ。
しばらく迷った末、私は口を開く。
「では、パーティー4人までで護衛依頼をお願いします。ただし、お金だけむしりとられても困りますので、護衛決定前に面接をさせてください。」
「なるほど、構いません。」
職員さんは笑顔で頷くと、依頼表を書き上げた。
よし、お金稼ぎをしよう。
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新作長編、『斧男』を連載いたします。
ジャンルはサイコホラーです。エリクサーの材料回以上にえげつない表現が続く……予定です。
そっちもよろしくお願い致します。
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