第65話 What!?
薬草採取をするために森へと来た私は、冒険者ギルドで借りた袋を広げて摘んだ癒し草を詰めていく。
その時に【薬物知識】を使い、チェックすることも忘れない。
「これで10束目っと。」
[【薬物知識】のレベルが上がりました]
[アビリティ、【植物知識】を手に入れしました]
そんなアナウンスが聞こえてきたので、私はステータスをチェックする。
名前
種族 レベル 1
ジョブ 薬師
HP 30/30 MP 25/25
筋力 20 知力 30 瞬発力 25 精神力 30
アビリティ
生成(薬品)【6】(1up) 薬物知識【6】(1up) 植物知識【1】(new) 精神汚濁耐性【3】(1up) MP軽減【3】(2up) 洗濯【2】 清掃【2】
称号
【赦された者】
「植物知識、ねえ。草ばっかり調べていたからかな?」
独り言を漏らしながら、私は作業を続ける。
そのとき。
『わふっ!!』
犬のような鳴き声をあげる狼が草むらから飛び出してきた。
「うわっ、昨日の狼!!」
私は立ち上がってバッグの中の薬瓶に手を伸ばす。しかし、狼はそんな私を気にせずにバッグに噛みついてきた。
「バックは止めてって!破れる、破れちゃうから!」
私はあわててしゃがみ、バッグを下ろそうとする。
その瞬間。
ズガアアアアン!!!
バキメキバキッ!
「ホワッツ?」
凄まじい破壊音と、倒木の振動、そして、凄まじい風が私と狼を襲う。
倒れる木々に、私は慌ててその場に伏せる。
『わふっ、わふっ!』
狼が数度吠え、何かを警戒する。
「何、なにっ!?」
小声で叫ぶという我ながらに器用な真似をしながら、顔を上げてみる。
そこにいたのは、鷲と鷹を足して二で割り、大きさを100倍くらいにしたような、バカでかい猛禽類。
金色の尾羽はキラキラと太陽光を反射し、突き刺さるような殺意のこもった瞳は狼へと向けられ、鋭く分厚い爪は私の事など簡単に八つ裂きにしてしまいそうだ。
端的に言えば、全長8メートルはあろうかという巨大な鳥が目の前にいる。そんな状況だ。
「うそん。」
『わふっ、わふっ!!』
吠える狼に背を押され、私達、つまり、私と狼はその場から一目散に逃げ出した。
『グルラアァァァァァァァアアア!!』
鼓膜を切り裂くような凄まじい鳴き声が背後から響く。私は足を止めずに耳を塞ぐ。
チキンな私に感謝!!
森の浅いところで薬草採取をしていてよかった!このまま行けば王都に逃げ込める!
文字通り必死に足を動かしながら、私はバッグの中から瞬発力強化薬を二本取り出し、一本は狼に、もう一本は私がイッキ飲みをする。
とたんにステータスが上昇し、走るスピードが上がる。……しかし。
『グルラァァア!!』
バキャッ
「ああああ、あっぶな!!」
顔面すれすれをなにかが横切り、近くにあった一抱えはありそうな大木がいとも簡単にへし折れた。
『わふっ、グルルルルッ!!』
隣を走っていた狼が急に立ち止まり、狼に相応しいうなり声を上げる。
何事かと後ろを見てみれば、巨大鳥はもう私達の真後ろにいた。
「えっ、ちょ、狼!?」
走り逃げる私を気にせずに、狼は巨大な鳥に飛びかかった。
『グルラァァアアア!!』
巨大な鳥は敵対する狼に対し、うなり声をあげて警戒する。
直後、凄まじい衝撃波が私を襲った。
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