第59話 女子中学生(異世界人)の日常

「うーん、やっぱり、武器が欲しいな~。」


 一串半銅貨二枚二百円の串焼き肉を頬張りながら、私は呟く。ボッチだと独り言が多くなるみたい。


 串焼き肉はなかなか美味しい。噛むとタレと肉の油が口の中に広がり、少しだけ独特な臭いもするが、野性的な味の範疇だ。

 肉は、強いていうなら豚肉に似ている。


 この串焼き肉の欠点は、何の肉だかわからないことだろう。これが本当の謎肉だね。笑えない。


 武器か。


 まず、重いと詰む。筋力ステータス的に無理だ。しかも、重さで逃げられなくなったら元も子もない。


 次、初心者でも簡単に使えないと詰む。戦闘訓練はしたとはいえ、私は一般人だ。弓矢や鎖鎌などは触れたことすらない。


 次、高いと詰む。買えない。


「うーん……どうするか。安くて、使いやすくて、軽い武器……」


 ずいぶんと都合のいいことを考えているな、私。

 そして、あることに気がついて声を出す。


「あ、あるじゃん。」




 数分後、雑貨屋へ向かった私は、二本のナイフと小瓶十個ほどを購入した。

 工作用の小さいナイフが二本で銅貨二枚千円。瓶は一個半銅貨一枚で、十個で銅貨二枚。


 合計銅貨四枚の出費だ。ちょっと懐が痛いね。


 工作用のナイフは武器には向かないが、ある程度の反撃はできて、使いなれている。外へ出る予定はないため、今のところはこれで十分だろう。


 二本のナイフのうち、一本は反撃用、もう一本は日常生活用だ。ハーブを刻むのにも使えるね。

 ナイフの二刀流?できるわけないじゃん。


 市場で一袋半銅貨四枚のハーブと一房銅貨一枚の薬草も購入し、私は宿へと帰った。


 宿についた私は、3日分の宿台を支払い、水の入った桶をもらって部屋に閉じ籠る。


「さてと……。」


 今の私のMPは10。水とハーブを使えば、三本の低級ポーションが作れる。

 MPは大体十分で一割回復するから、三十分に一回低級ポーションを生成すれば効率のいいMP消費ができるはず。


 余った時間はトレーニングと薬品知識に使う。後は、ナイフの素振り。


「やるか。【生成(薬品)】。」




 午前中に依頼を受け、午後は低級ポーション作りと体力作りにいそしんで、早くも私が一度死んでから五日が過ぎた。


 落ちているゴミを拾いながら、私はステータスをチェックする。


名前

種族    レベル 1

ジョブ 薬師

HP 30/30(10up) MP 3/25(15up)

筋力 20(5up) 知力 30(10up) 瞬発力 25(10up) 精神力 30(10up)

アビリティ

生成(薬品)【5】(4up)  薬物知識【4】(3up) 精神汚濁耐性【2】 MP軽減【1】 洗濯【2】 清掃【2】

称号

【赦された者】


 人はギリギリになれば努力が出来るようになるらしい。MPの目標を達成できた。


 後は、洗濯と清掃というアビリティを手に入れた。日々の生活での経験かな?


______そろそろ、王都の外に出てみるか。


 三袋目の麻袋にゴミを詰め込んだ私は、腰を伸ばしながらそう考えた。

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