第46話 絶望したっ!!

「…………はぁ………………」

「大変申し訳ない。」


 ため息をつくクルートさんに、私は謝罪した。

 クルートさんは私の隣の個室に手足と目隠しをされた上で重りをつけられ、上半身裸の状態で押し込められている。警戒しすぎか。


 私はエリクサーの材料を用意しながら過去の研究者の日記を読む。


「過去の研究者、あったまおかしいんじゃないの?こんなところで嬉々として研究をするなんて。」

「………伝説……再現するやつ、……まともなわけない。……アレク……変人……リュート………脳筋。」


 ぼそぼそとしゃべるクルートに、私は思わず声をかける。


「え?会ったことがあるの?というか生きているの?」

「生き……てる。……一緒のところで……育った。」

「ふぅん?………………はぁっ!?」


 一緒のところで育った!?私は日記を取り落とした。


「……気に……しないで……」

「気になるわ!」


 日記を拾いながら、私は考える。

 宰相はもし牢屋から逃げ出したら、クラスの人を殺すと言っていた。クルートさんには逃げたら私を殺すと脅していたっけ。


 全く意味がわからないことに、クルートさんは私を見捨てなかった。だから黙って捕まり、隣の個室にいる。


 そして、宰相はエリクサーを作るように命令し、四角い魔道具を部屋の隅に置くと、何処かへと行ってしまった。


 四角い魔道具は、いわば盗聴機のような物らしい。魔石で動くが燃費がよく、後、一ヶ月は動くとか。


 食事は出ない。これは、クルートさんを確実に殺すためだ。私が人質にとられた後、騎士達が頑張っていたが、どうにも出来なかったらしい。


 つまり、一週間以内にエリクサーが作れなければ、私は餓死する。いやー、絶望的だね☆


 ……ふざけている場合ではない。私の仕事にクルートさんの命がかかっているのだ。


 人間は、三日間水分を摂れないと、死亡する。


 私は水は生成することができるため、食事の心配だけで良いが、クルートさんに至っては縛られているため水すら飲むことができない。


 つまり、期限は三日間。絶望した!!


「やっぱり、最後の材料だけが分からないわ。三つだけで何かできるかなって思ったけど、出来るのは【エリクサーモドキ】だけだし、MPを60も使うし。」


 私は出来上がった薬を眺めながら、言う。


【エリクサーモドキ】

 飲めば頭が潰されると死ぬが、それ以外であれば、回復することが出来る。効果は半日続く。

 また、一口飲めばどんな病気でも癒す。

材料

世界樹の葉 フェニックスの羽 天上の甘露水


「これでも十分すぎるほどの性能を持っている気がするけれども……」


 薬の小瓶を棚に置き、私は呟く。

 薬物知識では、???という材料が必要だった。


 ……けれども。


『注意 ???は、MPで代用することは叶わない。命を伸ばそうとするものは、???を集め、///////////さなくてはいけないことを心に刻むべし。』


 チラチラと、警告文が頭を過り、やる気をそぐ。


[精神汚濁耐性のレベルが上がりました。]

[生成(薬品)のレベルが上がりました。]

[MP軽減のレベルが上がりました。]


 脳内のアナウンスがアビリティのレベルアップを伝える。


 私は頭を抱えて、ため息をついた。

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