第42話 王子とのお茶会()
「アシナ様、リンフォール第一王子からお手紙が届いております。」
「……はっ?」
ノックされたからドアを開けたら、美しいメイドから手紙を渡された。
同じ王宮にいるのだから直接言いに来れば良いのに。高級そうな紙が勿体ない。
何故か良い臭いのする手紙を受け取った私は、宛名を確認してから封を切る。
中には、きれいな文字で『お茶会に来ませんか?』と日時だけかかれていた。
書かれている日時は、明日の昼。
_____うっわ、何か、嫌な予感がする。
「不参加で良いよね。手紙の内容もお茶会のお誘いだし。」
「いえ、予定がないのであれば参加していただければ幸いです。」
「……さいですか。」
ドアの前でそっと立っていたメイドが口を挟む。かなりの気迫に、私は思わずそう答えてしまった。
「では、参加ということでよろしいですか?」
「いいえ。」
「そんなことを言わないでください。参加ということでよろしいですか?」
「ループするやつじゃないですか。いいえ。」
「わかりました。参加するのですね。王子にお伝えいたします。」
「はいすら言わせてもらえなかっただと!?」
メイドは、美しい礼を一つすると、私の部屋から出ていった。
「_____ってことがあったのよね。あかねちゃん、私、どうしたら良い?」
「知らないわよ。毒薬でも飲んで病欠したら?」
「……その手があったか!!」
思わずそう叫んだ私の頭をあかねちゃんは軽くはたく。酷い!お父さんにも殴られたことがないのに!
「バカなことをしないで。死んだらどうすんの。」
「大丈夫!葵ちゃんからマンドレイクをちょっともらって食べるだけだから!」
「それを大丈夫とは言わないわ。」
あかねちゃんはため息をついて私に言う。
「いかなければ良いでしょ。訓練を延長してもらったり、クリストさんに勉強を教えてもらったりすればお昼の時間に遅れても仕方がないじゃない。」
「でもなー、あのメイドさんの様子を見る限り、強引なことをして来そうなんだよねー。」
ぶちぶちと文句を言う私に、あかねちゃんはばん、と背中を叩いてきた。
「ほら、ぐちぐち悩まない。さっさと晩御飯を食べなさいよ。」
「……へーい。」
手紙を渡したメイドは、リンフォール王子に報告をする。
「_____以上です。」
「以上ですじゃねえよ、異常だよ!!何であの下女は手紙にかけた【
「申し訳ありません。」
怒り狂う王子に、メイドは深々と頭を下げる。
王子は、盛大に舌打ちをすると、メイドに命令する。
「あの女はきっと茶会に参加しようとしないだろう。だが、脅そうが強引だろうが関係ない。何がなんでも俺の主催する茶会に参加させろ。」
「かしこまりました。」
王子の命令を聞いて、メイドは再び頭を深々と下げる。
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