第37話 私の陰謀(笑)

 ダンジョン探索から一夜明け、私はいつもの部屋で目を覚ました。


「あー、固い。宿屋のベッドが恋しい……。」


 私は体を伸ばして起き上がる。

 すると……


「動くな、悪魔め!!」

「アルフレッド様を殺そうとしやがって!」


 私の狭い部屋に、鎧を装備した男性が複数。いずれも私に剣を向けている。

 何だ、夢か。


「おやすみなさい」

「何がおやすみなさいだ!ルーク、こいつを縛っとけ!」


 そのままベッドに寝転がろうとした私の手を、ルークと呼ばれた男性が乱暴に掴む。


「ホワット!?」


 あれ?痛くね!?

 男性に掴まれた右腕がものすごく痛い。

 思わず私はルークと呼ばれた男性に声をかける。


「へい、おっさん。ステータス、ステータス。」

「誰がおっさんだ!!」


 違う、そこじゃない。

 骨が折れちゃうから。


「知るか!」

「いや、骨が折れたら困るから。」

「おい、ルーク!悪魔に構うな!」


 訳が分からないうちに、私は寝巻きのまま外へと引っ張られた。





 さて、朝ごはんも食べないまま、私はいつもの食堂に引っ張られた。


 食堂には、2ーAの皆が勢揃いしている。

 広いテーブルの上には、真っ白なテーブルクロスがしかれ、つやつやと輝くフルーツやパン、スープ等がおかれている。


 食事中に兵士に引っ張られる私を見た皆は、困惑の声をあげる。


「……のの、何してるの?」


 あかねちゃんが持っていたスプーンをテーブルの上に置いて聞く。


「わかんね。朝起きたらこうなってた。」

「何言ってるの?」


「聞いて下さい!勇者の皆さま!!この者は悪魔と契約し、アルフレッド様を害そうとしたのです!」


 ざわりとする食堂。

 呆れた顔をするあかねちゃん。

 キョトンとした顔のクラスの面々。


 とりあえず、私は口を開く。


「そのー、アルフレッド様って、誰?」


「はっ?」

「へっ?」


 私の発言を聞いた兵士さん'sが見事に間の抜けた声を出す。


「のの、あんたねぇ……。教官よ、教官。」


 あかねちゃんがため息をついて言う。

 そんな名前だったのか。心のなかではオーガって呼んでたわ。


「あー、なるほど?で、教官がどうしたの?」

「え、あ、アルフレッド様が今、衰弱していて、神官に問いただしたらキサマが犯人だと……」

「証拠は?」

「神官がそう言ったんだ。間違いはない。」


 鎧を装備した兵士が、胸を張ってそう言う。

 クラスの面々が揃って頭を抱え、ため息をついた。


 頭を指で押さえたあかねちゃんが、口を開く。


「神官が嘘をついたとは思わないの?」

「そんなわけないだろ!」

「理由は?」


 銀色のフォークをカチャリと食器の上に置き、佐藤さんが口を挟む。


 テーブルの上に座っているロキは自分の体の大きさほどあるフランスパンらしきものを齧りながらこちらをにやにやと見つめている。


 ……お腹すいた。


 言葉が詰まった兵士は、しばらく唇を噛み締めた後、ひょいと私を突き飛ばした。


「あだっ!!」


 赤い絨毯にキッスをする私。

 兵士さんは深々と頭を下げて私に言う。


「……悪かった。隊長が死にかけていて、正気じゃなかった。」

「謝るのだったら突き飛ばさないでくんない!?」


 微妙にクラスの人に笑われたのが悔しい。

 二人の兵士さんたちは、私に謝罪すると、半ば駆け足でどこかへ向かっていった。


……一体なんだったのだろう。

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