第33話 おいおい、なんの冗談だ(ぱーと2)

[麻痺毒(遅効性)]


「……はっ!?」


 遅効性の、麻痺毒!?

 キュアポイズンとかが効かないのって、異常状態の理由が麻痺だから?


 えーっと、麻痺を治す薬は、持ち合わせていない。ないならどうするか?


「【薬物知識】!」


 作ってしまえばいい!


[麻痺消し]

 異常状態、麻痺を治す。

材料

 ビリビリ草 ハーブ 水


 ビリビリ草って、何か馬鹿っぽい名前の草ね……


「葵ちゃん!ビリビリ草って召喚できる?」


 私は大声で葵ちゃんに質問する。

 

「はぁ?びりび……何て?」


 銃声や金属の擦れ合う音で聞き取りにくいのか、葵ちゃんが叫び返してくる。


「ビリビリ草!麻痺消しの材料!」

「……わかった!【植物召喚】」


 葵ちゃんがギザギザの葉を持つ植物を召喚する。

 私はバックの中から水筒とハーブを取り出す。そして、のところまでかけよって、作り出す。


「【生成(薬品)】!」

「ん……!!ごほっ、ごほっ!辛い!?」


 MPを25ほど使い、直接その人の口の中に麻痺消しを生成する。

 異常状態麻痺の治ったその人は、咳き込みながら起き上がる。


「キュアパラライズを皆に!よろしく!福島さん!!」

「へっ?ああ。分かったわ。【範囲拡大】【キュアパラライズ】」


 その人、福島さんは杖に手を伸ばして、詠唱する。

 変化は、一瞬だった。

 広場の中に光の粒が雪のように降り注ぐと、皆の顔色が一瞬にして良くなり、起き上がり出す。


「すげぇ……。」

「ごほっ、口が痛い……」

「ごめんね、福島さん。」


 私は福島さんに謝る。ごめんね☆

 異常状態の治った教官とあかねちゃんは圧倒的だった。


「燃やし尽くせ【ファイアウォール】!!」

「はぁぁぁぁあああ!!」


 燃え上がる大きなスライムに、まっぷたつになるオーク。

 防衛戦は一方的な蹂躙劇に変わり、それすらも終演を迎えるには三十分もかからなかった。


「お疲れ。あかねちゃん。怪我はある?」

「大丈夫よ、のの。福島さんが直してくれたから。」

「へーい。あ、教官、毒消しです。どうぞ。」

「おお。毒なんてもらっていたのか。助かる。」


 教官にピンク色の液体の入った小瓶を手渡し、私は広場を見渡す。

 いまだに倒れている人が数名、座り込んでいる人が半数、残りが立ち上がって回りの人を助け起こしているという状況だ。


「うわ、ひでぇ。」

「のの、口調。」


 あかねちゃんのツッコミ。

 まあ、これで、一件落着。






 ……とでも、思ったか?


「後ろの通路!!そこからオーガが来る!逃げないとヤバい!」

「へっ?」

「はっ!?」

「あ"!?」


 突如、大声を出す松本くん。

 数秒後、凄まじい破壊音でダンジョンの壁が壊され、は現れた。


 鋭い角に、三メートルはあろうかという体躯。隆起した鋼のような筋肉に、粗末な鎧。そして、首筋に刻印された


「Aランクの魔物の、オーガです。」


 クリストさんがひきつった顔でそう言った。

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