第30話 ダンジョン探索二日目(朝)
翌日。
「よく寝た~。」
私はふかふかのベッドの上で伸びをする。朝日が眩しい。
宿に備え付けてある机の上を見れば、日の光を受けてキラキラと緑に輝く薬の入った小瓶。
私はそれに、薬品知識を使う。
[HPMP回復ポーション] 使用MP35
HPとMPをそれぞれ50回復する。
材料 薬草 魔力草 水 ハーブ
作成者 足名 のの(オリジナル)
「ふへへへへ。」
思わず声を出して笑ってしまう。
幾ばくかのMPと材料を無駄にして作り出した私オリジナルの薬だ。何度頭痛に悩まされたことだろう。何度やめようと思ったことだろう。
完成したHPMP回復ポーションをバックのなかにしまいこむ。
それ以外にもいくつかの新しい薬品をそれぞれバックのなかに入れ、食堂へ向かう。朝ごはん、何だろう。
「これから二日目のダンジョン探査を行う!今日からは地下3層までを探索範囲とする!」
教官の宣言でダンジョン探査が始まる。班員は昨日と変わらず、葵ちゃん、佐藤さん、剣野くん、宮藤くん、前田先生、クリストさん。あとジルドレとロキ。
今日はあらかじめみんなに各種強化薬を配っておく。……佐藤さんには何も渡せなかったが。
「魔法の威力を下げる薬って、ない?」
少しだけ悲しそうな顔で佐藤さんが聞いてくる。
「……そのうち、作ってみるよ。」
私はあいまいに微笑んでそう答えるしかなかった。
佐藤さんがロキに命令して威圧を解かせる。
すると、昨日とは異なり、十分に一回は魔物に遭遇するようになった。
「凄いね。オークキングで経験値を積んじゃったせいで、全然レベルが上がらないや。」
トドメをさしたゴブリンから魔石を取りながら、そう呟く。これでダンジョンに入ってから十体目のゴブリンだ。
「足名さんも上がったんだ。俺もよくわからないけれども上がっていてさ。」
油断なく2丁拳銃を手にかけながら、宮藤くんが口を開く。
小さく薄い色の魔石をクリストさんに渡す。
少しだけ前を探査していた佐藤さんが
「ここ、罠があったから解除しておいたよ。」
と声を上げる。ロキは小さく舌打ちをしている。
「隠し部屋の宝箱は空だった。前に来ていた人たちが持っていったのだろう。」
隠し部屋から出てきた前田先生がそう言う。
前田先生はMPの少ない魔法使いだ。一時は親近感を感じていたのだが、魔法の扱いが上手く、足りないMPを知識で埋めて上手く活用していた。
前田先生は運が良いのか、細かいのか、隠し部屋を見つけるのが得意なようだ。
「そろそろ、二層に行きましょう。」
クリストさんが地図を片手に言った。
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