第24話 スライム()が現れた!

「ひゃっはー!!ゴブリンはいねぇか!」

『ご主人サマ、あいつ、あんなキャラでしたっけ?』

「……諦めなさい。宮藤くんは、宮藤くんは、もう、帰ってこないわ。」


 全員がゴブリンを倒してレベル2になったあと、私達はダンジョンを探索していた。ダンジョンには、魔物だけでなく宝箱も発生するらしく、まれに良いものが入っているのだとか。


 なお、倒したゴブリン三体は、心臓の中にある『魔石』というものを取り出して、後はダンジョンの端に置いておいた。


 ダンジョンは暫くするとらしい。原理は未だ不明だけれども、魔物や人間の死体は放置しておくと、消えてなくなってしまうのだとか。ちょっと怖いね。


 ゴブリンから取り出した魔石は、薄い黄色っぽい色をした水晶の欠片だった。


 さて、暫くダンジョンを探索していた私たちは、次の魔物を見つけた。


 水色の液状の物体。それは、ダンジョンの床をうっすらと溶かしつつこちらへ近づいてくる。


「スライムです。弱い魔物ですが、触れば皮膚が爛れます。物理攻撃は全く聞きませんが、魔法には弱いです。」


 クリストさんが私たちに言う。


「じゃあ、私が倒すわね。試した魔法があるの。」


 佐藤さんが口を開く。


『あのスライムが不憫すぎる。』


 ロキがぼそりとそう呟く。お前、悪魔じゃないの?

 佐藤さんは杖をスライムに向けると、短く詠唱した。


「【業炎ごうえん】」


 ずがぁぁぁぁああああん!!!


 佐藤さんの短い詠唱の直後、凄まじい轟音と破壊音が響く。

 熱風で私たちの髪の毛がたなびく。


 数分後、巻き起こった土煙が消えたあとには、ダンジョンの通路が残っていた。スライム?跡形も残っていないね。


 クリストさんは暫く口をポカンとあけて突っ立っていたが、はっと我に帰り、ひきつった顔で佐藤さんに言う。


「い、威力を、もう少し落とした方が、いいと、思いますよ?」


 佐藤さんは、無慈悲に答える。


「これが、最低威力の魔法です。」

「はっ?」

「オリジナルアビリティのせいで魔法の威力が強くなっているのです。これ以上、弱くはできません。」


 ……なるほど。

 クリストさんは、頭を抱えたあと、佐藤さんに言う。


「余程のことがない限り、ダンジョンでの魔法の使用を禁止します。」

「なん……だと?」

『ご主人サマ、当然デスよ。ダンジョンが壊れちまいマス。』


 佐藤さんは杖をそっと握りしめる。

 えぐれたダンジョンの通路とそれなりに美形な佐藤さんがひどく不釣り合いだった。


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「この魔物をクリストやマエダにけしかけるのだよな?」


 大きな魔物を従えた男が隣の痩せた男に聞く。

 魔物は、分厚い甲羅で亀のような姿をしている。

 が、明らかに亀ではない。理由は簡単。のだ。そして、口からはノコギリのようにギザギザとした牙がはみ出ている。


「ああ。王の恨みを買うとは、運がないやつらだよ。こいつ、魔法攻撃も物理攻撃もあまり聞かないやつだろ?」

「しかも、肉食で獰猛。ギガントタートルはB級の冒険者じゃねえと倒せないらしいな。」


 痩せた男は亀のような魔物の首輪を引っ張る。


「そろそろ来るはずだ。」


 その時。


 ずがぁぁぁぁああああん!!!


「うお!?」

「なんの音だ!?」


 凄まじい轟音と破壊音だ響き、地面が揺れる。


 ……そして。


 ぎゃおおおおおお!?

 ぐちゃっ


「は?!」

「ギガントタートルが!?」


 爆破の衝撃で崩れた岩盤が、ギガントタートルを圧殺する。

 ……後には、大きな亀の死骸と、困った二人の男が残された。

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