第20話 薬師は辛いよ

 どうも。ののです。

 いやー、自由時間っていいね。お茶会がないときは本当に。


 今、私は葵ちゃんの部屋で、リリィと戯れている。本当に癒し。


 リリィは植物だからなのか、成長が早い。

 つい最近生まれたばかりだと言うのに、もう二本足でよちよちと捕まり立ちをしている。

 そのため、服はリリィの行動を阻害しないような、あっさりとしたデザインの洋服だ。


『ふぁー』

「この洋服、ジルドレさんに作ってもらったの。」

「へえ、ジルドレさん、あんな見た目して、器用なんだね。」


 葵ちゃんとそんな話をしながら、綺麗な赤色のお茶を優雅に一口。




「うっぐ!?」

「ごほっ!!」

『ふわ!?』


 口の中の違和感に、思わず口からお茶を吹き出す。

 辛い!苦い!痛い!


 即座に口のなかに解毒剤入りのお菓子を詰め込む。

 あ、お菓子は美味しい……


「【薬物知識】!!」


[マンドレイクの粉末入りの紅茶]

 飲むと、腹痛や嘔吐、最悪の場合は中毒症状などを起こす。死には至らない。


[解毒剤(マンドレイク)入りのクッキー]

 マンドレイクの中毒症状を完全に無くす。隠し味はナッツ。


「即死しないとはいえ初っぱなからマンドレイクは鬼過ぎない!?」


 お茶を薬物知識で鑑定した私は思わず葵ちゃんにそう叫ぶ。


「仕方ないでしょ!解毒剤が用意できたのがマンドレイクだけだったのよ!!」


 葵ちゃんは、クッキーをバリバリと食べながら答える。最早、優雅なお茶会からはかけ離れた様相だ。


「いや、言ってくれれば作るから!……やばい、HPが3減った!」


 クッキーを口の中に押し込みながら、低級ポーションを流し込む。


『ふわー……』


 リリィは、そんな二人の様子をあきれたように眺めていた。



 ことの発端は、葵ちゃんに精神汚濁耐性を手に入れたときの事を話したことだった。


「だったら、毒物耐性は、毒を飲んだりしたら手にはいるのじゃないの?」

「……やってみる?」

「……やってみようか。」


 二人のジョブが薬師と植物使いだから即決。毒物も解毒剤も作ることができる。

 万が一にも死ぬようなことは起きないだろうというわけだ。



「……耐性、手にはいった?」


 私は、口元をハンカチで押さえながら葵ちゃんにそう聞く。

 葵ちゃんは少し残念そうな顔をしてから答える。


「まだね。次は何を試す?」

「継続ダメージが入る、『毒薬(弱)』を使ってみる?」

「解毒剤は?」


 私は、ポーチの中から十本、青色の液体の入った小瓶を取り出す。


「はい、低級ポーション。」

「……ないのね。」

「うん。でも、薬物知識では十秒毎に5ダメージが五回らしいから、何とかなると思うよ?」


 そう言って、空っぽのティーカップに一口分の紅茶を入れて、そのなかに濃いピンク色の毒薬(弱)を入れる。とろみが強いせいか、なかなかティーカップに入らない。

 そして、一気に煽る。


「っOh!!十秒毎に7も減ってる!?」

「それ、飲むやつじゃなくて、相手にかける皮膚毒なんじゃないの?」

「言うのが遅い!ぽ、ポーション!!」


 ポーションをがぶ飲みしていると、脳内にアナウンスが流れてきた。


[アビリティ、【毒物耐性】が手に入りました。]


「や、やった!毒物耐性が手にはいった!」

「……おめでとう。私もやってみるわ。」


 渋い顔をした葵ちゃんが毒薬(弱)を左手にかける。


「いった!?何これ、すごく痛いじゃない!」

「はい、ポーション。」

「25ダメージくらい耐えられるわよ。」

「でた、ステータス格差。」


 そんなやり取りをしていると、葵ちゃんも毒物耐性が手にはいったらしい。

 最後に、葵ちゃんから大量のハーブとその他種などを受け取って、解散した。




 なお、この事をあかねちゃんに言ったら、グーで殴られました。


 ごめんなさい。次からは危ないことをしません。

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