第15話 一体何なのよ……

「……きて。あ……さん。」


 ん……聞き覚えのある声がちかくで響いている。


「起きて。足名さん。」

「……知っている天井だ。」

「でしょうね。」


 おはよう。ののです。

 大の字に寝転がっていたため、真っ白な天井が目に眩しい。

 ぐっしょりと濡れた服と髪の毛が重い。

 しかし、外傷はないらしい。


「……佐藤さん。いろいろ言いたいことがあるのだけれど。」

「怪我はポーションで治しておいたわ。」

「HPが1しか残っていなかったわ。」

「……生き残ったから良いじゃない。」


 佐藤さんはそっと目をそらす。

 私はそっと体を起こして、出来るだけ身なりを整える。


「そう言えば、ロキ…あの悪魔ってどうなったの?」

「ん。」


 佐藤さんは、私のそばに大の字に寝転がっている小さいなにかを指差した。


 赤い髪の毛で、ボロボロになった20センチ程の小さなそれ。


「……これ?」

「うん。あの後、まだ動いてたから二、三回ウォーターボールぶつけたらこうなったの。ついでに、さっき見てた本に書いてあった【従属魔法】も使ってみた。」

「ひ、ひでぇ……。」


 裏返して首筋を見れば、開かれた本のシンボルが刺青されていた。

 取り敢えず、見ていて不憫になってきたため、生成したポーションを飲ませる。


『う、ゴホッゴホッ!!にっが!!』


 気管に入ってしまったのか、咳き込む小さいロキ。

 佐藤さんは遠慮なくロキをつまみ上げると、


「出して?ここから。」


 と、平和的に脅す。


『ああ!?嫌に決まってんだろォ……ぐがぁ!??』


 反抗しようとしたロキが急に悶え苦しみ出す。


「あ、従属魔法で反抗したり主に危害を加えようとしたときに死なない程度にダメージが入るようにしてあるわ。」

『悪魔か!?お前、もしかして同族だったのか!?ぐっ……!!』


 苦しそうなロキ。そんなのは関係ないとばかりに佐藤さんはもう一度、「出して。」と言う。

 大分不憫に見えてきた。こいつが悪いのはわかっているけど。


「えーっと、出して、もらえる?その、ここから出してくれたら、痛み止め位ならあげられるけど……」

上位悪魔俺様に対して報酬が少なすぎるわァ!!フザケてんのか貧乳チビ!!』

「あ"!?」


 貴様は言ってはいけないことを言った。もう知らん。勝手にしろ!

 私はロキに背を向けて自由に使えるMPで生成(薬品)を繰り返す。

 反抗的なロキから、暫く悲鳴や絶叫が聞こえたが、無視だ、無視。


『じょ、冗談だ!冗談だからァ!た、助けてくださいィ!!』

「いいから、ここから出してよ。」

『いや……ぐがぁ!!あああああああ!!!ワ、カリました、ご主人サマ……っ糞が!!』

「ご、ご主人サマって!うわっ、可愛い!!」

『笑うんじゃねえ!貧相な糞ガキ!!』


 文句を言いつつも、ロキは空間に黒い歪みを作り出す。


『ここを通れば図書館だ……ぐっ!図書館デス。』

「ありがとう。」


 佐藤さんは涼しい顔をして白い空間から抜け出す。私も、それに続いた。

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