楽園の手

作者 GB(那識あきら)

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★★★ Excellent!!!

とにかく美しい文章と、ざわざわと胸を騒がせる心地に読み進める手を先へ、先へ、と逸りすぎるのを宥めながら、美しい描写に飲み込まれます。
SFの世界は小説概要を見るだけで十分でしょう。冒頭の衝撃と、その衝撃から浮上させずに引き込むあまりに美しくざわつく描写。
うっそりしてしまう、という言葉がこれほど似合う文章と出会うなんて、と、いう心地。先に記したように、ざわつきは先を急がせ、にもかかわらずあまりにもうっそりとした文章がじっくり読ませることをやめさせない。先へ、いやここへ。とどまる心地と逸る心地の妙が、心を掴んで離さない。

どういえばいいのか、レビューなのにうまくまとまりません。
衝撃と、そのくせガツンとなぐられるというよりはひたすらたたずむしかないような心地の奇妙な空白に、とにかく楽園に足を踏み入れてみて欲しい、と思います。

あまりにうつくしい世界の光が、今も焼き付いてしまっている。

★★★ Excellent!!!

ひとこと紹介は本文からの抜粋。

……僕があほなのか、描写の美しさに見惚れてしまい肝心のストーリーが頭に入っていません。


読んでいてPS4をしている気分になりました。
風の音も聞こえました。
木々のざわめきも聞こえました。
泉の湧く音も、鳥の鳴く音も、照り付ける太陽の暑さも感じました。

楽園、の方に目がいきすぎました。今までで一番うつくしい描写力だと感じました。

読ませていただき感謝しかありません。ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

ある世界で下層民だった僕は、ある日、クレバスに墜落した。辿り着いた世界で、彼は「手」を収穫している……。


物語の内容は、要約するとこれだけなのですが。淡々とした描写のなかに現れる、妖艶で退廃的で凄味のある世界感にうっとりさせられます。この「手」は何かの象徴なのか? 「僕」とこの世界の関係は……? ミステリーかつ心理学的な興味もそそられて、つい、何度も読み返してしまいます。
お薦めのダークSFです。

★★★ Excellent!!!

下層民の「僕」はある日、クレバスに迷い込んだ。
クレバスの中からは危険な獣が現れるのが常だが、
「僕」が訪れた世界は、「僕」だけの楽園だった。

その世界で、
「今日も僕は、手、を収穫する」

始まりと終わりの一文が同じという企画だそうで、
最初に読む謎めいた一文を、意味を知って読むと、
まったく違った印象、痛快なアイロニーを覚える。

みずみずしい手の色気ある描写もまた必見。
楽しく拝読しました。