第98話 逝人ビューティフルワールド

保育園の頃に遊んでいた友達がいつの間にかいなくなっていた事に私は気づいていませんでした。小学4年の頃だったでしょうか、ようやくその子が亡くなっていた事がわかりました。そんなある日島に新しい公民館が出来て、そこで本を借りたいという母について行きました。そうすると見たことのあるような女の人が公民館の職員としていました。その女性は亡くなった同級生のお母さんでした。「よくうちの子と遊んでくれたわよね」って言われてとても後ろめたい気持ちになりました。島の同級生なんて十数人しかいないのに、亡くなった事にも気づいてなくて、その子の事を思い出すこともなく毎日過ごしていたからです。井戸に落ちて死んだその子の何をいまさら私は思えばいいのか、そんな事も考えました。

今私の目の前にはスノードームが。魂が巡るなら、次は二人でスノードームの中で遊んでいたい。そうしたら忘れずにいられるかもしれない。

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