第92話 死縁ボックス

人の死というのは生よりはるかに平等だと思っていました。私は幼少の頃から早死にだらけの親族の葬儀を多く体験していて、棺桶に入った故人を何より恐れ、悲しみと共に見送っていました。数年前に親戚で長く生きているのは母方の祖母だけになりました。祖母を見ていると、彼女は毎日お経を唱えて、亡くなった親族達の月の命日には供え物をしてまた違うお経を唱えます。法事という法事を全て行い、納骨堂の掃除もします。でも祖母が亡くなったらそれを誰がするでしょうか。祖母のように祖母を供養するでしょうか。みんな自分の事だけを心配して生きるだけだと思います。

祖母には不平等な死が待っているのみなのです。

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