第六話「態度」

新しい同僚がやって来た。

「今日から新しくやって来た清水麗子さんです。みんな、よろしくね」

「清水麗子と言います。どうぞよろしくお願いします」

八方美人だ。今ここにいる誰よりも綺麗だ。

「では今日からよろしくね」

看護長の挨拶と共に仕事を始めた。

「清水さん、これお願いできますか?」 

「分かりました」


「飯田さんに頼まれました」

「そうか。ありがとう」

清水は加藤に資料を渡した。

「これでよい。戻れ」

「分かりました」


「飯田」

「はい」

「堀内さんの様子はどうだ?」

「順調に回復しています」

「そうか」

「今のところ、油断はできない。もう一度検査をしてくれ」

「分かりました」

「それと飯田」

「はい」

直人から小さな紙を渡された。

今日、一緒にご飯を食べないか?という言葉が書かれた。

「いいですよ」

時間と場所を伝えた後、香織は仕事に戻った。


「飯田さん」

「はい、なんですか?」

「加藤先生とどういった関係ですか?」

「仕事仲間であり、恋人同士です」

「私、加藤先生のこと好きになってもいいですか?」

「え?」

麗子から意外なことを言われ、香織は少し戸惑った。

(あんなこと言うなんて…。もしかして邪魔しようとしてるのかな?)

「そんなことある訳…ないよね」

香織は夜、直人と待ち合わせをした場所で彼が来るのを待っていた。

「香織!待ったか?」

「少しだけ…」

「そうか。ごめんな」

「ううん、そんなことないよ」


「ここのレストラン、綺麗だし、食べ物もおいしいという好評があるんだ」

「へえーそうなんだ」

「うん」 

「香織。仕事の時はいつもの態度だが、プライベートの時は優しくするから」

「う…うん」

「まあ、仕事の時は気を抜けないからな」

「そうだね」

「新しくやって来た清水さん、どうだ?」

「明るくて、優しくて、仕事に対する熱心がある人だから、優秀だなって思った」

「そうか」

「清水さんに何か言われたらあまり気にするな。冗談半分で言っている」

「どうして分かるの?」

「親戚なんだ」

「え?」

直人から意外な理由を聞き、香織は昼間、清水が言った言葉を思い浮かべた。 

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