第133話 ピエールの話25

ナミカ・キムラが、その話を初めて聞いたのは、

たしか2~3年前だ。

 

進化した人類が、誕生しだしているというのだ。

最初に見つかったのは、木星圏。そして、火星

以内でも、二人見つかった。

 

テルオ・リーと、アミ・リーの兄妹だ。

 

通常の人間と何が違うのか、の解析は今現在

進められているが、研究者の推測では、

遺伝子的には人間の能力も含有し、かつ

拡張されているという。

 

ポレクティオサピエンスという仮の名もつけられた。

 

能力や体型も含め、高いほうにも低いほうにも

拡張されているというのだ。

 

元クリルタイ国王、ティエン・ヘイらが進めて

いた計画も、いよいよ実行に移されようとしていた。

移動できるタイプの都市を建設し、太陽系から

一番近い恒星系を目ざす計画だ。

 

そして、その発見された進化した人類も、その

次の恒星系をめざす旅に加わる。将来的には、

その次の恒星系で進化した人類が居住圏を広げ、

太陽系との中間地点に都市を設け、旧人類である

ホモサピエンスと外交を行う。

 

次の恒星系の名は、プロキシマ・ケンタウリ。

 

そして、最初のマンダラ型都市とキューブ型都市が

出発の時期に近づいていた。最終的には、両タイプ

20基づつほどが、太陽系を離れる予定なのだ。

 

ここ月のラグランジュ点第3エリア、都市マヌカの

最下層、ミノー駅近くのバー・ゲルググと、レストラン

・サクティでは、ささやかな壮行会が開かれていた。

 

マッハパンチ、ボッビボッビ、アラハントのメンバー、

テルオ・リー、サクティの店長でプロデューサーの

ゴシ・ゴッシー、妹のサネルマ・ゴッシー、ゲルググ

店長のエンゾ・グラネロ、ヘンリク・ビヨルク、

 

ナミカ・キムラ、サキ・キムラ、ピエール・ネスポリ、

ユタカ・サトー、ドン・ゴードン、トム・マーレイ

などなど。

 

いや、それどころか、音楽バンド、ネハンのメンバー、

元クリルタイ国覇王ティエン・ヘイ、元参謀の

リアン・フューミナリの姿まである。

 

ティエンとリアンは、火星以内を急速に

まとめつつあった。

 

火星以内をコウエンジ連邦を中心に、外縁をフイ帝国

とラスター共和国でまとめ、バランスをとりながら太陽

系内を治めていく、安心して行ってこい、とテルオ

に話している。

 

テルオとアミの兄妹以外に、誰が移動都市に加わる

のだろうか。

 

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