第42話 ヘンリクの話3

夕食の準備をしなければならない。


最近はヘンリクが親の分も含めて料理をした。

といっても、平日が忙しいので、週末に

作りためる方式だ。


今日は金曜日で、作りためたものも昨日に

尽きている。何か適当に食材を買ってきて、

あるものと組み合わせてすぐ食べれるように

料理しておく。


週末は土曜に買い出し、日曜に料理した。

だいたいは冷凍保存などできる鍋もの中心だ。

香辛料をふんだんに使った料理が得意だ。


第3エリアでは、ほかの宙域エリアと比べ

一般家庭での料理が盛んだ。第2エリアでは、

出来上がりのもの、あるいはすぐレンジなど

で調理できるものを買ってくる、あるいは

宅配を頼む、外食する、など、自分で作る

文化がほとんどないと聞く。


てきとうに作ったものをつまんでから、

このあと親と入れ替わりでヘアーサロンの

店舗にいく。


店舗の控室の一室がヘンリクの部屋に

なっていた。そこで、休憩したり、製作活動

をやったり、大学の課題をやったりする。


店舗はミノー駅そばの小さな地下街にある。

ここに、だいたい週末仲間と集まる店が

ふたつある。


「魚介のスープ、ジャガイモ蒸し、あと、

野菜のサラダ」

「わかったありがとうヘンリク」

親に告げて、店舗をクローズドに変える。


ヘアーサロンの向かいにある、サクティ

というレストランと、ゲルググというバーだ。


ゲルググは、バー兼、ライブハウス兼、

クラブで、店舗の規模自体は小さいが、

お客が入るスペースに加えてバンドが演奏

する低い段差をつけただけの小さなステージ、


ディスクジョッキーが演奏するブース、

その横に照明操作やビジュアルジョッキーが

プレイする小さなスペースもある。


今日はバンドのライブイベントが予定されて

おり、出演するのはアラハント、マッハパンチ、

ボッビボッビの地元3バンドだ。


「何時からだったっけ?」

イベントフライヤーをみつけて確認する。

バンドやDJの出演数でよく開始が変動する。

「9時オープンか」


このイベントに、ヘンリクもビジュアル

ジョッキーとして出演する。今日のイメージ

を、あらためて自分の中で確認する。


自分の端末を持ち込んで、ゲルググ備え付け

のビジュアルミキサーでプレイする予定だ。

時間までまだ2時間あった。

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