第11話 記憶の図書館--人々の集合無意識の中で。
女は、鳥を追いかけ、海を渡っていった。
蝶たちが彼女の回りを飛び回っている。
黒い鳥が帝国時代に建てられた十字架に止まった。木がうなだれ、鳥たちは話し合いを行っている。空は海のように波立ち、雲から、図書館に、黒い羽と共にイリアは落ちてきた。あたりは霧雨で、空からは死の歌声が聞こえる。
彼女を迎えるように、木の葉は紅いカーペットのように地面を覆い、一陣の風とともに紅い木の葉が吹き抜け、その命は散っている。木の葉が嵐のように、風が彼女を呼んでいる。
「起きろ。」「起きろ、我が娘、我が女王」
気がつくとイリアは門の前にいた。門には文字が書かれている。
『真理は人を自由にする』
こちらですよ。とネルーは挨拶する。分かれ道だ。アナスタシアは言う。
他にもたくさんの門、崩れかかったものや、打ち壊されたものが、一つの城--図書館の入り口の間に建っていた。門の中には異世界が広がっていた。それぞれ、誰かの記憶が門の向こうにあった。
ネルー、どうしてここに。それにアナスタシアさん……だっけ。運命に逆らいなさい、イリアさん。とネルー。ここでは幾度も選択を迫られる。困ったらネルーに頼ることだ。その心臓を使うと夢に閉じ込められるぞ、とアナスタシア。
全てはお前の意思次第だ。
イリアが真理の門をくぐると、そこは図書館のカウンター前だった。
「なにか、欲しい本はありますか?」
「私は……。」
「君は自分のことを知りたいんじゃないの?なぜあの神の娘なのか、ネルーの言う追ってくる死の運命はなんなのかとか。」
僕は孤島の住人です。と、日焼けした肌をした南国辺りから来たであろう男はそう言った。
「君のことはネルーから聞いてる。僕らは世界維持のための監視役だからね。君が新たな贄になって死んでもらっては困るんだよ。」
「とにかく、ここには様々な人々の記憶の本が納められているから、よく調べることです。」
と、近くにいた初老の老人は言った。
「ここは人々の夢の中。真理と真理を組み打ちさせよ。」道化師達がうすら笑いを浮かべながら、アコーディオンを弾いている。
「あのアコーディオンの曲は、時間や日にちによって変わるんです。とはいってもここは人々の夢の中なのですが。あまり長く滞在すると夢から出られなくなりますよ。早くここから出るための、『真理』を見つけてください。本を借りてもいいし、この図書館の利用者から話を聞くでもいいです。」
と、いつからいたのか、ネルーは言った。
イリアが時計を確認すると、13月92日午後73時2400分とめちゃくちゃな時間を指していた。
「人々は秒を数え、機械仕掛けの宇宙を観測しました。まずはあの時計を戻してはいかがです?」
1. 時計を直す
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886878166/episodes/16816452221047883931
2. 時計を壊す
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886878166/episodes/16816452221048024912
3. 何もしない。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054886878166/episodes/16816452221464059964
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