第48話 なにをしよう
またもや目的を見失ってしまったわけですが。
グルメ情報を探して身分を偽り、街に入ったかと思えば対応が悪かった職人ギルドと商人ギルドを物理的に潰して次の街へ。
何このゴリラ、超タチ悪いんですけど。
いけない、こんなんじゃまともな旅なんて出来ない!
結局昨夜は街の外で野宿だったし、ベッドもお風呂も恋しいのですよ。
とりあえず次の街まで歩きながら魔物を狩る事で、次の街でお金に換えても不自然じゃないようにしておこう。
お?何か大軍の反応があるぞ?
魔物を探そうとした瞬間に、何やら多くの反応が森から出てくる所だった。
待ち構えていると、出てきたのはゴブリン。しかも大量。
ゴブリンはどの世界でも基本的に害しかない魔物である。
でも一部そうじゃない世界もあるかも知れないから、念のため会話を試みる。
「そっちは人間の街だけど、何しに行くの?」
急に表れて話しかけた俺に対し、うろたえながらも戦闘準備をするゴブリンたち。
あ、これやっぱりダメなタイプだな。うん。
なんか誰かが用意したような装備の整いっぷりだとか、陰謀のにおいがするけど関係ない。
敵対するなら殲滅するだけウホ。
3分後、自然発生したには多すぎる100匹ちょっとのゴブリンを片付け、魔石を探ってみたり討伐証明になりがちな耳を切り取ったりしてみた。
このゴブリンには小さな魔石が一つ入っており、これを魔道具の材料にすると簡単なものなら作れそうだ。
とは言っても、属性を出すエンチャントなどは異常な技術だと既に判明しているため、弱い耐久性向上なんかの触媒にして終わりだろうけど。
そのまま街道を進み次の街まで行くと、さっきと同じようなゴブリンが沢山攻め込んでいた。
一匹だけ水晶が出てるでかいのがいるけど、正直誤差レベルの強さでしか無い。
異空間倉庫から店売りに毛が生えた程度の剣を取り出し、次々と切り伏せていく。
街の中から弓矢や魔法で攻撃が来ているが、届かないところをメインに次々切り伏せていく。
外側を往復した頃には残りわずかとなっており、後は任せる事にした。
途中から俺のいる方には魔法も矢も飛んで来なかったし、敵じゃないとは思われているはず。
ゴブリンが全滅した後、街の門が開くと中から兵士が数人出てきた。
「防衛のご協力ありがとうございます。
街壁の上からでしたが、あなた様の活躍は見せていただきました。
あなた様がいなければ、この街は危なかったでしょう。」
お?この感触はいいんじゃないの?
後は貴族の道具にされないのであれば、適当な報酬とグルメ情報もらって出ていけばいいよね。
「いえ、襲われているところを見つけ、自分にそれを救う力があったのなら当然の事です。
特に礼儀作法も知らない流れ者としては、それくらいしか御力になれませんので。」
謙遜と同時に、貴族の道具になるつもりは無い事をにおわせておく。
こういうの大事だからね。もう暴れるのは控えないとね。
こうして無事に、街を救ったヒーローとして中へと入れてもらえるのだった。
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