第25話 2人流
右手にはスリA、左手にはスリB。
ゴリラ流2刀ならぬ2人流を見せるため、戻ってきました人材斡旋所!
周囲の人々は危ない人を見る目で俺を見ている。
2人の成人男性の足をつかみ、引きずりながら歩いてきたのだ。当然である。
石畳は平らでは無く、ゴツゴツと痛かったのだろう。
2人は折れていない方の腕で頭を庇っていた。
「ごめんねー、痛かったねー、ヘルメット被せてあげるねー」
棒読みでそう言いながら、いつ手に入れたか記憶に無い鉄の兜を装備させてやる。
再び足をつかむと、人材斡旋所のスイングドアに2人を叩きつけた。
「ウホウホ、ウホウホウホホー!」
はじけ飛ぶドアに、臨戦態勢をとったりテーブルに隠れたりする人々。
「あ……あんたは!」
受付婆Bが驚きのあまり目をむき大口を開けて固まっている。
報復に来たのだと気付いたのだろう。
……いや、いきなり人を振り回してウホウホ言ってる変な人が来たからのような気がしてきた。
まあ気にしない。
「毎度!三○屋でーす!
スリの返品に来ましたー」
スリ2人をカウンターに叩きつけぶち壊すと、受付婆Bの顔を踏みつける。
受付婆Bは必死に足をつかんで顔をずらすと、金切り声で叫びだした。
「こんな事してタダで済むと思ってんのかい!?
アンタ!早くコイツをぶちのめしな!」
現れたのは仲間…もとい、ゴリラだった。
いや、一応は人間なんだろう。
身長は2m以上、手足は電柱のように太く、胴体は2人分はありそうだ。
服の上から見てもわかるような筋肉の盛り上がりは、もはや人間を辞めているレベルかもしれない。
そのたくましい腕で殴られれば、一般人ならタダではすまないだろう。
……もう床に刺さってるけど。
さっき来たときと同じ事をしただけである。
今度は首までじゃなく、腰まで埋まってピクリともしないけど。
あ、受付婆Bがさっきよりさらに面白い顔になってる。
他に襲ってくるやつがいないかと周囲を確認すると、既に逃げ出した後だった。
「え?もう終わりなの?
まだ1人しか突き刺してないよ?」
首を傾け純粋な目で受付婆Bを見つめる。
「わ、私が悪かった!悪かったから許しておくれ!」
「え?床の修理代払わなくていいの?やったー!」
超棒読みでそう言いながら、受付婆Bをさっきのゴリラのとなりに突き刺す。
床に刺さっている夫婦?から迷惑料を貰うと人材斡旋所を出て行く事にした。
おっと、スリ2人からも忘れずにね!
意外と1番持ってたのはスリBだった。
しばらくは遊んで暮らせただろうに、欲をかくからこんな事に……
このお金はしっかり役に立てるからね!
人材斡旋所を出ると、そこには傭兵がたくさん集まってました。
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