172 後日談 アルルの診療所
後日談
アルルの診療所
魔法の森の季節は一年を通じで四回変化する。つまり春、夏、秋、冬の四つだ。これはおおむね、この世界のどこでも通用する常識と言ってよい現象らしい。
しかし魔法の森の周辺ではこの地域特有の現象というものもあった。それは『雨季』の存在だ。
この雨季は魔法の森周辺の地域特有のもので、メテオラたちの暮している魔法の森では春から夏にかけての変わり目に『雨季』があった。その間、森では毎日のように雨が降っているような天気になる。そしてその雨が止むと空はからっとした青空となり同時に季節が夏に変わるのだ。
雨季の期間に降る雨は普段気まぐれに降り出す雨とは違って、それなりに強い力を持った雨だった。それがどれくらい強いかというとベテランの魔法使いさんでも空を飛ぶのが危ないと感じるくらいだ。
なので、この雨季の期間は魔法学校はお休みとなっている。
これは外の世界にはない魔法の森独特の文化だと思われる。
この雨季の時期や季節ごとの四つのお祭りなど、魔法の森の文化を含んだ魔法学校の一年の生活というものは次のようなものだった。
まずは四月に始業式を行いそれから授業が始まって、その週の終わりには春のお祭りである千年祭を行う。それから雨季の時期になり、年三回ある定期試験の一回目の試験が終わると、魔法学校は一ヶ月という長期の夏休みに入る。その休みの中頃には今度は夏のお祭りである慰霊祭が行われる。夏休みが終わると雨季の時期も明けるので、魔法学校の生徒たちは雨上がりの空とともに、久しぶりの学校生活を迎えることになのだ。
それからしばらくすると今度は秋のお祭りである豊饒祭と魔法学校の行事である運動大会が行われる。秋の終わりごろには二回目の試験が行われて、やがて冬の季節が始まり、その冬には精霊祭が開かれることになる。精霊祭が終われば魔法学校は年越しの時期を含む二週間くらいの冬休みに入り、年明けの数日まではゆっくりとできる。
それから新年を迎えて一週間くらい経つと魔法学校が始まり、それから三回目の定期試験とメテオラたちのように見習い魔法使い卒業試験を受ける年齢の生徒たちは、その三回目の試験のあとに見習い魔法使い卒業試験の本試験(例年通りであれば、筆記、面接、実技試験)を受けることになる。それから精霊花の色が色とりどりの色に色づくころには、試験の結果は発表されて、森は再び春の季節を迎えることになるのだ。
これが魔法の森と魔法学校での一年の生活というものだった。
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