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「シャルロットさんの夢はお菓子職人になることなんです。魔法の森にはお菓子職人をしている魔法使いさんが一人いるのですが、シャルロットさんは今年、みなさんの試験が無事に終わったあとは、その魔法使いさんのお弟子さんになるつもりのようですね。コーヒー豆とカカオの実の新しい栽培方法も、その魔法使いさん直伝の方法を発展させた形で成功させたようです」
マシューはそんな風にシャルロットの話をメテオラにしたあとで、「ではまたのちほど」と言って、通信を切った。
それからすぐにがちゃっという音がして、十一階のどこかのドアが開いた。
そこには一人のほっそりとした体格をした黒い髪の女性の魔法使いさんが出てきた。その魔法使いさんのことをメテオラは知らなかった。
黒い髪の魔法使いさんはパーシー先生とは反対に下に向かって、螺旋階段を降りて行った。
それから少しすると、上から誰かが降りてきた。
その誰かは明かりを持っていない。
誰だろう? とメテオラが注意深く様子を伺っていると、それは十三階にいるはずのアネットだった。
きょろきょろと周囲を見渡していたアネットはメテオラを見つけて、ほっとした表情をすると、すぐにメテオラの元にやってきた。
「お久しぶりですね。メテオラくん」とにっこりと笑ってアネットが言った。
それから二人は少しだけ普段通りの会話をした。
「どうかしたんですか?」とメテオラが聞くと、どうやら十三階では今、ニケー先生が見回りをしていて、その見回りを回避するために一時的にアネットとシャルロットは下の階に移動したということだった。シャルロットは十二階のニコラスのところにいるらしい。
それからアネットは通信機を貸して欲しいと言った。
メテオラはアネットに通信機を渡して、使いかたを教える。「……と、いう感じです」メテオラが言う。
「……いつもありがとう、メテオラくん」とアネットが言う。
「……いえ、別に」とメテオラは返事をする。
アネットは通信機で会話を始める。通信の相手は、どうやらマリンのようだった。
そのやりとりが終わるとアネットは通信機を切った。
それからアネットはじっとメテオラを見る。
「ねえ、メテオラくん。マリンちゃんのこと、どう思っていますか?」とアネットはメテオラに聞く。
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