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「はい」
とアネットが手をあげる。
「なんですか、アネットさん」とマシューが言う。
「私たちは偽物の幽霊を捕まえることを目的としているのに、どうして全員が地下の図書館ではなくて、塔の最上階付近と二つにチームをわけているのですか?」アネットが質問する。
その質問はメテオラも気になっていたことだった。
メテオラはてっきり、全員で地下の図書館周辺の見張りをするのだとばかり思っていた。
「それは偽物の幽霊の目的にあります」
マシューが言う。
「目的?」メテオラが言う。
「そうです。まあ、詳しいことは通信機でお話しますよ。ですが塔の最上階付近にも偽物の幽霊があらわれる確率があるということです」
マシューはそう言ってこの話を終わりにしてしまった。
アネットはなんだか不満そうな顔をしている。
メテオラたちは会議室を出ると、それぞれの担当場所に別れて、螺旋階段をゆっくりと上と下に移動した。
当直の先生たちに見つからないように明かりも持たず、足音も立てない静かな移動だ。
メテオラはこそこそと夜の魔法学校の中を移動して、まるで自分がこれから捕まえようとしている偽物の幽霊にでもなったかのような、なんだかとても不思議で、かつ複雑な気持ちになった。
メテオラは自分の担当である十一階でみんなと別れた。
一人でぽつんと暗い魔法学校の中にいると、なんだかとても不安な気持ちになった。
そのとき、ざー、という小さな音が鳴った。
それは通信機の音だった。
教わった通りにボタンを押して通信機を耳に当てながら「はい。メテオラです」と言うと、通信機から「メテオラくんですか?」というマリンの声が聞こえてきた。
「そうです」とメテオラは答える。
それからメテオラはマリンと少しだけ、おしゃべりをした。
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