123

「あのすみません。私からもいいですか?」と今度はアネットが手を挙げる。

「いいですよ。気になることはどんどん発言してください」とマシューが言う。

「この偽物の幽霊の容疑者の中には私の知っている魔法使いさんが三人混ざっているんですけど、その三人とも偽物の幽霊の犯人どころか容疑者としても疑われるような魔法使いさんは一人もいませんでした。なのでマシューくんににお伺いしたのですが、この容疑者の魔法使いさんを偽物の幽霊の容疑者として疑われている根拠はいったいなんですか?」とアネットはマシューを見る。

「いいでしょう。では今、僕が名前をあげた魔法使いたちが偽物の幽霊の容疑者として疑わしい根拠を話していきましょう」とマシューは言う。

「まず前提として幽霊は魔法学校の敷地内でしか目撃されていません。そのため本物でも偽物でも、とにかくどちらの幽霊でも魔法学校の中に入ることができる魔法使いであることが条件となります。この容疑者たちはその条件を満たしています。

 この魔法使いたちは全員、魔法学校から正式に認められて魔法学校の中で仕事をしている魔法使いたちなのです。この偽物の幽霊の容疑者たちはそれぞれ理由は違いますが、魔法学校から正式な許可をもらっていますから魔法学校への立ち入りは容易です。それがまずは疑わしいことの一つ目ですね」

「でも、魔法学校への立ち入りの許可を受けている魔法使いさんはほかにもいますし、そもそも正式な許可がなくても事前に連絡をして一時的に許可を貰えば、誰でも問題なく魔法学校の中に入ることができますよね? それなのになぜこの魔法使いさんたちなんですか?」とアネットが質問を続ける。

「それは幽霊が目撃された時間と場所に関係があります。アネット姫さま」とシャルロットは言う。

「時間と場所……、ですか?」とアネットは首をかしげる。

「幽霊はですね、夜の時間にしか目撃されてないんですよ」とマシューが言う。

「それと場所っていうのは地下の図書館のことです。デボラくんたちが幽霊を見たっていう本館の十三階やメテオラくんが話してくれた教室で見た幽霊の話は……、おそらくどちらも本物のほうだと思われます。

 なぜなら、デボラくん、アビーくん、それにメテオラくんの二件の目撃例を除けば幽霊の目撃情報は地下の図書館に集中しているからです」とシャルロットが言う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る