大きいね。世界ってさ。

１２２

「もし違う意見があるのなら、今ここで発言して欲しいんですけど、……どうですか？」

　シャルロットの言葉に反対するものは誰もいない。

　メテオラもそれでいいと思った。

　ソマリお兄ちゃんがメテオラの感じた森の危機に気がついているのなら、そこまでメテオラたちが無理をする必要はない。むしろメテオラたちがしゃしゃり出たら、ソマリお兄ちゃんの足手まといになってしまうだろう。本物の幽霊はソマリお兄ちゃんに任せるとして、メテオラたちは偽物の幽霊を捕まえればそれでいいのだ。

「決まりですね。では話を続けますよ。まずは偽物の幽霊の容疑者を何人か縛りこんだので、その魔法使いたちの名前を発表します。みんなよく聞いていださいね」とマシューは言って、それから魔法の森に住む魔法使いの名前を数人、順番に言った。

　その中にはメテオラの知っている魔法使いの名前もあった。

　でも大半は知らない魔法使いの名前ばかりだった。

　マシューのあげた容疑者の中で、メテオラの知っている魔法使いたちは皆、幽霊騒ぎに乗じて偽物を演じるような魔法使いには思えなかったので、偽物の幽霊を演じている魔法使いは残りのメテオラの知らない魔法使いの中の誰かということになるのだろうか？

　メテオラがそんなことを考えていると、「あの……すみません」と言ってマリンが遠慮がちに手を挙げた。

「なんですか、マリンさん」とマシューが返事をする。

「その、容疑者の中に私の兄が混ざっているんですけど……、それは……」とマリンは言う。

「はい。確かに混ざっています。ですからマリンさん。もし今日、幽霊を捕まえることができなかったら、そのあとでこの容疑者のみなさんの調査をする予定なのですけど、マリンさんのお兄さんの調査は一番身近にいるマリンさんに任せたいと思っています。いいですか？」とマシューが言う。

「ええ！？」とマリンが言う。「私が、兄の調査をするんですか！？」

「そうです。マリンさんのお兄さんなら幽霊の真似事とかしそうですよね？　僕は正直なところ、偽物の幽霊の正体がマリンさんのお兄さんの可能性は十分にあると思っています」とマシューが言う。

　その言葉にマリンは反論しない。それはつまりあり得るということなのだろう。メテオラにはわからないけれど、妹のマリンがそう思うのならそうなのかもしれない。