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「アスファロットは孤独でした。だからこそ、彼の心は長い年月をかけて擦り切れてしまい、最終的に心はなくなり、そこにはなにもない空っぽの空間ができてしまいました。きっとアスファロットはその穴から深い闇の中に落ちていったのでしょう。そうなる可能性が天才とはいえ、異端と呼ばれる魔法使いには誰にでもあったということです。

 もちろん、それだけが原因ってわけじゃないのでしょう。でも大切なことです。魔法使いは孤独になってはいけない。魔法使いは一人では決して自由には生きられない。そういうことをアスファロットの厄災のお話を教訓として、みなさんに知ってもらいたかったんです。

 みなさんには私がついています。私にもみなさんがいます。それだけではなくて、ほかの先生方もいるし、森で暮らしているたくさんの魔法使いの先輩たちもいます。そういう人たちを頼りにしてください。みなさん一人一人では乗り越えることができない大きな壁でも、みんなの力を合わせればそれができるかもしれません。それを忘れないでください」

 メテオラたちはマグお姉ちゃんの話を真剣に聞いていた。

「わかりましたか?」

「はい」

 メテオラたちは答える。

 その言葉を聞いて、マグお姉ちゃんはその顔をとても嬉しそうにほころばせた。

「いい返事です。でも返事だけではだめですよ。大切なことは言葉ではなくて心で理解するものなんです。言葉だけじゃ本当の意味を理解したことにはなりません。いいですね?」とマグお姉ちゃんは言う。

 メテオラたちはもう一度、マグお姉ちゃんに「はい」と返事をする。

「よろしい」

 マグお姉ちゃんがそう言って、その日のお話は終わりになった。

 おそらくマグお姉ちゃんはいくつかの質問や選択肢をメテオラたちのために用意していて、結果的に先ほどマグお姉ちゃんが言っていたように、一人ではなくてみんなで協力すればなんとかなる、と言う結論にメテオラたちを導こうと考えていたのだろう。

 それがマグお姉ちゃんが星組の教室の授業を通して、メテオラたちに本当に伝えたかった、たった一つの答えだったのかもしれない。

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