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「マグお姉ちゃん、あの……」

 と言って、メテオラはシャルロットの手紙の内容を幽霊のことだけを秘密にして、マグお姉ちゃんに話した。

 するとマグお姉ちゃんは「うん。確かに聞いている」とメテオラに言った。

 そして思ったよりもすんなりとお泊り会の許可がおりた。

 メテオラはすぐにでもお泊り会の準備をしたかったのだけど、それはなかなかできなかった。

 それは突然の来客があったからだ。

「ねえメテオラくん? この髪飾りどうかな? 似合ってる?」

「私のほうが似合ってるでしょ? それより、少しスカート短すぎじゃないかな?」

「そんなことないよ。みんなこんな感じよ」

「そうだけどさ、ちょっと私には無理だな」

「そう? せっかく背も高いし、スタイルもいいし、もっと足出したほうがかわいいのに。ね? そう思いませんか? マグ先生」

「思わない。それくらいで丁度いい」とマグお姉ちゃん。

「マグ先生。ここって結構部屋、綺麗ですよね。この家ってソマリ校長先生の家なんでしょ? シンプルだけどいい家ですよね」

「あの、マグ先生。実際のところ、マグ先生とソマリ校長先生って……その、それくらい進んでるんですか?」

「……別に私とソマリはなんでもない」と少し顔を赤くするマグお姉ちゃん。

「でも、二人は結婚の約束しているですよね?」

「……別にしてない。そういう噂が流れているだけ」とマグお姉ちゃん。

 それからも会話が全然止まらない。時間が、どんどん経過していく。ああ……どうしよう? そろそろお昼になっちゃいそうなんだけどな……。

「私のことは別にいいの。それよりもあなたたちはどうなの? 今日は二人だけのようだけど、男子生徒と一緒じゃないの?」とマグお姉ちゃん。

「あいつらはだめです。やる気ないです」

「誘ったんですけど、なんでもすごく大切な用事があるとかで忙しくて断られちゃったんです。それで少し機嫌が悪いんだけよねー、ふふ」

「別に機嫌悪くないし」

 女性の魔法使いさんはそれから照れ隠しに紅茶を飲もうとして、カップの中身がからっぽになっていることに気がついた。

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