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「正式な許可は下りてませんよ。あれは新聞部の……、と言うよりもワルプルギスさんの独断ですね。あの記事の中の幽霊の話は魔法生徒たちに不安を広げるから新聞に掲載してはだめだと教師のみなさんの会議で決まっていたんですよ。その決定にワルプルギスさんは怒って、独断で新聞をばらまくという行為に出たんですね。実行犯のデボラくんとアビーくんにも逃げられてしまって、ニケー先生はおかんむりだったようですけど、まあワルプルギスさんらしいといえば、らしい話ですよね」とマシューは楽しそうに笑顔で話をする。
「こっちにとっても良い話でありましたし、まあ僕も同罪ですかね」
「新聞部の正式な活動はお休みが終わってから、でしたよね?」アネットが言う。
「ええ。その通りです。それと新聞部の部室は僕たちにも馴染みの深い、地下の図書館の時計の間に決まりました。あの部屋の正式な所有者はモリー先生なんです」
どうやら水面下でマシューとワルプルギスさんはお互いを利用し合って、しかもその状況をなんだかとても楽しんでいるようだった。
メテオラにはそのすべてを見通すことはできなかったけど、今回の新聞騒動も、もしかしたら幽霊を捕まえるためのマシューの布石の一つなのかもしれない。
十一階に着くと、そこに一人の大人の魔法使いがいた。
その魔法使いは魔法学校の先生の一人であるパーシー先生だった。
パーシー先生は主に魔法動物の飼育や調査を自身の魔法使いの研究としているとてもひょうきんな先生で、魔法学校ではなぜかニケー先生と一緒の仕事をしていることが多かった。
「やあ、みんなこんにちは」
優しい笑顔でパーシー先生が言った。
メテオラとニコラスはいよいよ魔法樹の苗が見られるということもあるのだけど、そもそも魔法学校の十一階にくることが初めてだったので、内心すごく緊張していた。
でも、そのパーシー先生の笑顔を見て、二人の緊張はかなり和らいだ。それはまるでパーシー先生の魔法のようだった。
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