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 マシューはメテオラたちの姿に気がついて、人気のない食堂の隅っこの席からメテオラたちに手を振った。

 メテオラたちが席に着くと、「やあ。こんにちは。メテオラくん、ニコラスくん、アネットさん。みなさんお揃いですね」マシューは言う。

 マシューは野菜カレーを食べていた。

 三人もお昼ごはんを食堂で食べることにした。

 それは星組始まって以来の、三人で一緒の食事の時間だった。

 メテオラとニコラスは森の幸うどんを、アネットはマシューと同じ野菜カレーを注文した。

 少し離れた席にいた魔法使いの子供が「カレー辛い?」と大人の魔法使いに聞いていた。大人の魔法使いは「辛くないよ」と魔法使いの子供に優しい声で答えていた。

「量は多い?」

「大丈夫。そんなに多くないよ」

 そんな言葉にアネットは聞き耳を立てていたのかもしれない。

 マシューは途中でコロッケを追加で注文した。

 注文した料理を食べ終わると、メテオラたちはマシューの案内でマシューの研究室がある魔法学校の十一階を目指して移動を始めた。

 移動の最中、メテオラはパンプキンの記事のことをマシューに聞いてみた。

「あれはワルプルギスさんにお手伝いを頼まれたんですよ。よくあることなんです」とマシューは言った。

「ワルプルギスさんにって、それって新聞部のことですよね? そういえば今朝、デボラくんとアビーくんが正門前でパンプキンを配っていたようですけど、新聞部ってまだ活動許可下りてないんじゃなかったんじゃありませんか?」アネットが言う。

 アネットはあの場所にいなかったと思うけど、事情にとても詳しかった。

 どこかに秘密の(シャルロットさんかも)連絡網のようなものがあるのかもしれない。

 アネットはポケットから折りたたまれた魔法の森新聞パンプキンを取り出して、それをじっと見つめる。

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