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「あんたたち……覚悟しなさいよ!! 捕まえたらただじゃおかないからね!!」
ニケー先生はそう叫びながら正門上空の空に向かって飛んでいく。その先の空にデボラとアビーがいるからだ。デボラとアビーは、アビーが先頭を飛び、その後ろにぴたっとデボラが張り付いているという飛行隊形を取っている。
後ろのデボラが舌を出してニケー先生を挑発している。その効果は抜群だ。
真っ赤な顔をして赤鬼のように怒っているニケー先生は凄まじい速度で上昇する。それがあまりにも速くて、ニコラスとマリンの目ではその動きを完全に捉えきることができなくなった。
「……メテオラくん。マリンさん。ニケー先生の動き、見える?」とニコラスは聞く。
「見えません。速すぎます」とマリンは答えたが、「見えます。今、ニケー先生がデボラくんの背後を完全に捉えました。あれではもう逃げられません」とメテオラは答えた。
メテオラの言う通り、確かニケー先生がデボラの後方にぴったりと張り付いている。あれではもう捕まったも同然だ。デボラにしてはやけにあっさりと捕まるもんだな、とメテオラはちょっと不思議に思った。
その隣ではマリンがメテオラの『目のよさ』にとても驚いていた。
「ニケー先生が手を伸ばしました。もう直ぐ捕まりますよ。……三、……二、……一、……今です」
メテオラのカウントはとても正確だった。
ニコラスとマリンの目にもぼんやりとだけど、ニケー先生がデボラを捕まえたかのように確かに見えた。
しかし、実際の空では地上にいる三人の予想をはるかに超えた攻防が行われていたようだ。
「え? あれ? どうして?」とメテオラが驚いて声を上げる。
それは絶対に捕まったと思ったはずのデボラが、上昇中ではありえないと思われる角度で空の中を旋回して、ニケー先生の追撃を綺麗に振り切ったからだった。
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