79 魔法新聞パンプキン
魔法新聞パンプキン
魔法学校が一ヶ月の長期休みに入る最後の日、メテオラとニコラスが年老いた門をくぐり、魔法学校の中庭を移動して正門の前までやってくると、そこにはとても大勢の魔法学校の生徒たちが集まっていた。
なかなか珍しい光景である。
そんな生徒たちの上をぐるぐると旋回しながら飛び回っている二人の魔法使いの姿があった。それはメテオラたちがよく知っている顔の魔法使い。
月組の教室の生徒、デボラとアビーの二人だった。
「号外ー!! 号外だよー!!」
「スクープだよ~。早く拾わないと、全部なくなっちゃうよ~」
デボラとアビーはなにかチラシのようなものを空中からぱらぱらとばらまいている。下に集まっている生徒たちは、そのチラシのようなものを受け取るために、どうやらそこに集まっているようだった。
そんな光景をぼーっと眺めていると、くいくいっと誰かがメテオラのローブの裾を引っ張った。見ると、それは魔法学校の中にある孤児院で暮らしている小さな女の子の魔法使いで、女の子はなにかを伝えようとしているのか、じーっとメテオラの顔を見つめていた。
「どうかしたんですか?」と聞いてみる。
すると女の子は「あそこに変な魔法使いがいる」と言ってある地点を指差した。
その小さな指の先には中庭の一番端っこの石の壁際に壁と並ぶように植えられているもこもことした植物があり、その後ろには一人の魔法使いの姿があった。
その魔法使いはそのもこもこの植物の影に隠れながら、顔の前になにか変な四角い箱のような魔法具を構え、それを正門前に向けて、ぱしゃ、ぱしゃ、と変な音を立てながら周囲に小さな光を撒き散らせていた。
確かに変な魔法使いだと思ったが、よく見ると、それはなんとマリンだった。
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