21
このままではメテオラたちはその植物の壁に阻まれて魔法学校に入ることはできないということになってしまうのだけど、そうはならないように、きちんと森の小道の先には出入り口用のこじんまりとした古い木製の門が用意されていた。
森の魔法使いたちから、通称『年老いた門』と言う名前で呼ばれている門だ。
メテオラが両手を使って門を押してみると、年老いた門はメテオラたちを阻むことなく、ちゃんと内側に開いてくれた。
年老いた門を通り抜けた先には魔法学校の正門まで続いてる石造りの道があり、その周囲にはきちんと手入れをされて形を整えられた緑色の草木があった。
今、メテオラたちのいる年老いた門から魔法学校までの間の空間は『魔法学校の中庭』という呼称で呼ばれている場所だった。
魔法学校の中庭からはとても高くてとても大きな、巨大な塔のような円柱の形をした魔法学校の全景を眺めることができた。それだけでなく中庭までくるとぽつぽつと魔法学校の敷地内を歩いている小さな魔法使いたちの姿も見え始めた。実は魔法学校は学校としてだけではなく、魔法の森の孤児院としても利用されていた。厄災を経験した魔法の森にはメテオラ同様に両親がいない子供たちがたくさんいるのだ。今、中庭にいる小さな魔法使いたちは魔法学校の中にある孤児院で暮している孤児の魔法使いたちのようだ。小さな魔法使いたちは魔法学校の先生たちの朝の仕事のお手伝いをしているのだろう。箒を手に持って掃除をしている男の子や大きな窓を一生懸命に雑巾で拭いている女の子の姿などがメテオラたちの目に入った。
「おはようございます」
大抵の子はみんな無邪気な笑顔で元気よくそうメテオラたちに挨拶をしてくれるのだけど、中にはくすくすと隠れて小さく笑っている子もいた。その子供たちはこんなに大きくなっても歩いて魔法学校に登校してきたメテオラたちを見て、それを面白がって笑っているのだ。
この瞬間はいつもながらとても恥ずかしい。
「おはようございます」
メテオラたちは小さな魔法使いたちにそう朝の挨拶を返すと、それから意識してとんがり帽子を深めにかぶり直して、まるで逃げ込むようにして足早に中庭を抜けて、魔法学校の中へと入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます