第13話 不思議な子育て
近くの部屋から鳴き声は聞こえなくなり、どうやら寧さんたちがなんやかんやしてモスカを落ち着けたようだったが、やはり不思議だ。
そもそも召喚とかこの世界でありえないでしょとツッコミが回らなかったところをセルフで入れておく。
というか、あの魔法陣からしてフレスもなにかすごいのではとも思うが、そもそもこのアパートには謎の人物だらけだったりするからなぁ……。
と、思考を巡らせているうちにいつの間にか睡魔は襲ってきたようで、気付くと朝になっていたのだった。
「みーかんちゃん!」
朝から元気がいいな……。
昨日の夜に結局食べきれなかった煮物を食べていたが、そう呼ばれてしまうと流石に無視するわけにもいかない。
あんまり生活感のある部屋着とか見せたくないんだけどなぁ……。
「なんでしょうか…?」
「ほら、モスカちゃん見に行こうよ!今日寧さんたちがどうやって子育てするのか分からないじゃん?」
そうやって朝から元気がいいのは司。後ろにはふみちゃんもいる。
「けど、あんまり子育てのジャマをするのは良くないと思うけど……」
「大丈夫!私達が手伝ってあげればいいから」
この自信はどこから湧いてくるものなのか、はたまた司が元気の塊なのかは定かではなかったが、手伝ってあげるというのはいい案かもしれない。
手伝えればの話だが。
「じゃあ、着替えるからちょっと待っててね」
と私は言ったが、司は
「それでいいじゃん、十分可愛いと思うけど?」
と言ってきたので、嬉しいやら恥ずかしいやらな気持ちになってしまった。
「とりあえず、着替えさせて!」
私は今度はそれだけ言って、すぐにドアを締めた。
外からは「いいじゃん!」と言っている司の声が丸聞こえだが、無視しましょう。無視。
着替えは数分で終わった。
ついでに言えば、食べ物をタッパーにしまっておいたり食器を台所に運んでおくこともしておいた。
「遅くなってごめんねー」
というと、すでに司はいなくなっていて、後ろにいたふみちゃんだけが直立不動で立っていた。
「ああ、ううん、ぜんぜん大丈夫だよ」
ふみちゃんはすぐ気付いたが、少しぎこちない。
私は気になって聞こうとしたが、ふみちゃんはすぐに笑顔を作ったので、あまり掘り下げないほうがいいと勘が囁いた。
寧さんの家に行くと、モスカはまだ寝ていた。
というか、寧さんも疲れ切ったように寝ていた。
部屋は思ったよりも落ち着いていて、私達は別に何も手伝わなくてよかったということを理解した。
モスカの近くには司が可愛いものを見るように眺めていた。
「みんないたのか。おはよう」
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