世界紹介

■地球

「太陽系」という星系の第3惑星。この世界でほぼ唯一の「生命が存在する惑星」。

別名は「アース」。これは世界全体を指す言葉でもある。

ワールドコードは1。


魔力やそれに類するエネルギーは存在せず、魔法という概念が存在しない代わりに、科学技術や工業技術が凄まじく発達しており、電気エネルギーを以てありとあらゆる機械を操る世界。

また、物品や食品の流通・保存システムも発達している上に、電波やデジタル回線を利用した相互通信により、全世界でリアルタイムに情報の発信・受信を行えることも特徴の一つ。


元来は人間しか存在しない・存在し得ない世界だが、様々な異世界と位相レイヤーが重なり、ホールが出現することで他種族の流入・入植も(人類全体で見れば)僅かながら行われている。

同時にホールを通っての地球から他の異世界への人間の転移も発生しているため、人口の総数こそ大きな変動はないものの、人間以外に様々な種族が、様々な国に入植して人間に混じって生活している。


日本については特にホールの発生頻度が高く、他の国よりも異種族の割合が比して多く、転移による異世界への流入も頻発している。

言語体系については公用語の日本語が、何故か様々な世界の公用語・共通語と非常に高い割合で一致しており、異世界から転移してきたばかりの入植者でも会話や聞き取りには苦労しないケースが多い。

日本語の読み書きについては文字体系が共通でないケースが多いことと、漢字の存在がネックとなるケースが多いため、区役所や市役所などで定期的に、入植者向けの日本語セミナーを開催している。


2018年6月以降、東京都新宿区において異世界チェルパとのホールがこれまでとは比較にならない頻度で開いており、何件かの転移も発生しているため、危機感を抱かれている。




転移課てんいか

異世界から転移してきた人間、亜人種、魔物、並びに異世界へ転移していった人間の情報を管理する、日本の役所の一部門。

地球に転移してきたものへの住民票及び入植カードの発行、住居の斡旋、生活の上での各種相談受付やサポートを行っている。

また、危険な魔物が出現した場合の警察・自衛隊への報告と、魔物の情報収集・住民への注意喚起も実施している。

窓口営業時間はほとんどの地域で平日及び土日の8:30~17:00。

新宿区役所では庁舎の2階に転移課の窓口を、3階の一部に居室を持っている。




ホール

地球と異世界の位相レイヤーが接触し、重なることで出現する、地球の一地点と異世界の一地点を繋ぐ出入り口。

ゲート、ポータルなどとも呼ばれる。

大きさ、繋がっている時間は多種多様で、繋がる先の世界は中に入ってみないと分からない。また、ほとんどの人にはホールが空いていることを知覚することすら出来ない。

安定度の高いホールは空間のねじれとして視認することが出来るほか、ホールを通して流れ込んでくる大気中の粒子やエネルギーを知覚することで存在や位置の確認ができる。


転移課にはホールを感知するレーダーが配備されており、ホールの開通や生物の転移、開通先の世界の観測を行っている。

異世界にはごく稀に、人為的に安定度の高いホールを開通させて地球と異世界を繋げることが出来る人がいるとの噂が、まことしやかに囁かれている。




位相レイヤー

四次元的に世界の位置を定義した際、その世界の存在座標を示す言葉。

主に二次元平面の円形で捉えられている。

この円形の一部が相互に重なり合うことでホールが形成される。

位相レイヤーの重なりが大きければ大きいほど、二つの世界間で転移し合うものの総量は大きくなり、人間の転移も発生しやすくなる。

そして二つの世界の位相レイヤーがぴったり重なった時には、二つの世界が急速に混ざり合い、一つの世界として新たに合一されると言われている。


西暦2018年8月時点で、地球とチェルパの位相レイヤーは通常よりも大きく重なっており、このまま事態が進行すると日本とシュマル王国は互いに元あった世界から分離し、新たな世界として合一することが予想されている。




■チェルパ

マウロ達5人が地球に転移してくる前に暮らしていた世界。

ワールドコードは1E7。


「チェルパ」と呼ばれる惑星に展開する、「人間ヒューマンの他にエルフ族、獣人ビーストレイス鳥人バードレイス竜人ドラゴンレイス魚人ウォーターレイス及び魔物・魔族が存在する」世界。

ラトゥール大陸というチェルパの北半球に位置する巨大な大陸に国が形成され、大陸を取り巻く海上に諸島や小島が多数浮かぶ様式をしており、多くの人がラトゥール大陸で生活をしている。

世界の総人口は30億人程度。人間が4割、エルフ族全体が3割、獣人、鳥人、竜人がいずれも1割程度、少数の魚人という人口構成。


一年は360日、12の月に分かれ一月はいずれも30日ある。一日の長さは地球の約半分の12時間。

暦は全世界的に「神聖暦」と呼ばれる、神聖クラリス帝国発祥の暦が採用されている。


気候はラトゥール大陸の北部と南部を除いて一年中温暖で過ごしやすく、四季の移り変わりは激しくない。大陸の北部は寒冷地で一年中雪に覆われており、大陸の南方にある諸島群は一年中蒸し蒸しと暑い。

内陸部は乾燥しがちな気候だが、大陸は水量の豊富な地下水脈が網の目のように通っており、湧水を利用した井戸水が生活に深く根付いている。

食生活は小麦と大麦が中心で、主食はパンが基本。大陸南方や諸島群では米の生産も盛んで、大陸内の一部の飲食店で米料理を食べられることもある。

アルコールは醸造酒に限って作られ、ブドウを使ったヴァインやリンゴを使ったシードル、大麦を使ったエールがよく飲まれる。南方海域上の諸島群では米酒も造られて飲まれている。

野菜は根菜類を中心に大陸全土で広く栽培されており、特にジャガイモとニンジン、ローズビートの栽培が盛ん。


大気中に「魔力」と呼ばれるエネルギー粒子が遍く満ちており、これを体内に取り込んだり魔法陣に取り込ませたりして扱う「魔法」が、全世界で発達・普及している。

街道が整備されており、移動は馬車や乗合馬車が中心。大きな物品を転移させる魔法は日常的に利用されているが、人間を転移させる魔法は未発達。

異世界との接続、転移は古くから発生しており、異世界からチェルパにやって来た生き物は来訪者マレビトと呼ばれている。

各国の主要都市には地球の転移課と同様、来訪者マレビトの情報を専門的に管理し、サポートを行う役所「異局いきょく」が設置されている。


現在、アースやその他様々な世界と位相レイヤーが頻繁に重なって転移が数多く発生しており、行方不明になる人が全世界的に続出している。




■シュマル王国

ラトゥール大陸の東方に位置する王国。「東の大国」とも呼ばれる。

王都はエメディオ。現在の国王は第67代国王・ナタニエル3世。

平坦な国土は森林と草原に覆われており、国の北部にはエルフの各部族が、国の南部には獣人ビーストレイス竜人ドラゴンレイスが主におり、人間ヒューマンと共に暮らしている。

国政は安定しており治安もよいが、魔物や魔獣の出現頻度が比較的高く、頻繁に市民の生活が脅かされている。


主要産業は農業と林業、石材加工業。

特にシュマル王国産のベニノキは香りが強いため、高級な木材として名が高い。

また、銀を産出する鉱山が国内に多く、付随して良質な石材の産出も多いため、アクセサリーや石製の調度品の名産地としても知られている。

郷土料理はジャガイモやローズビートを細い千切りにし、ガレット状に成形してから卵を落として両面を焼き上げる「グスターシュ」が特に有名。


国立の冒険者ギルドはSSクラスの冒険者こそいないもののSクラス冒険者を数人抱え、人員と資金は潤沢。

しかしSクラスの一角だったマウロの転移に加え、同様の転移で冒険者の離脱が相次いでおり、有能な人員の不足に苦しんでいる。

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