<若干ネタバレあります。ご容赦ください>オチが読者の想像の枠を超えて素晴らしいかどうかは、文中でいかに読者の意識を逸らすことに成功しているかに依存すると思います。その点、この作品は「透明なもの」の持つ魅力について、精緻な文章で表現することにより主人公の心情が晴れやかになっていく様を見事に描いています。文中に描かれる老人の考えこそが物語の枢軸なのだと思わせる筆力。すでに術中にはまっていることをほとんどの読者は気づけないでしょう。お見事です。
文章の言葉選びも的確で、読んでいて心地よさを感じました。そよ風のような表現で、スラスラと読んでしまいました。オチで主人公の境遇と老人の発言が繋がり、鳥肌が立ちました。これからも頑張ってください!