夢に似た素材


確かに

自分の足が

地面に付いている感触を

覚えるけれど

目を開けてみなくては

わからない

本当に

自分の足が

この地面に

付いているのか

おれは

ゆっくりと

目を開けることにした

怖いんだ

真実ってやつを直視することが

何を躊躇う必要があるとあなたは言いたげだが

最近、当たり前のことなんて何も無いような気がしているんだ

今日までそうだったことが

明日もそうであるなんて思えないんだ

全て終わってしまう

何故かそんな気がしているんだ

まるで夢から覚めるように

さっきまで

もう遠ざかってしまって

もう二度とここへやって来ない

そんな予感がしているんだ

おれはゆっくりと目を開けた

自分の足が

地面に付いていた

だがこれは本当に自分の足なのだろうか


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る