電話に出んわこの俺は
ケータイが鳴った
ピリリ
おれは詩を書いていた
いたのだ
たった今な
だがそんな事情はお構いなしだ
リリリリリッ
もう詩の続きは書けなくなってしまった
集中力が途切れてしまったからな
ピラリッラリッ
おれは諦めて電話に出ることにした
「よお久しぶり」
電話口でそいつは言った
「お前、誰だ?」
「チンパンジーの甘辛煮がそろそろ出来上がる頃なんだけどお前のふくらはぎに味見してもらおうと思ってさ」
ピッ
とんでもねえ間違い電話だ
チンパンジーだって?
何を言っていやがる
ピャルリルッ
「はい、もしもし」
電話の向こうからまた同じ奴の声が聞こえて来た
「一番搾りってさ………もしかしてエロい言葉なのか?」
おれはケータイを床に叩き付けて破壊した
破片が辺り一面に飛び散った
「はあはあ」
おれはな
電話ってやつが大っ嫌いなんだよ
でも無いと不便なんだ
でもそれはみんなが持っているのに自分一人だけが持っていないから不便なだけであって
みんなが始めから持っていなければ感じなくてもいい不便さなんだ
誰だよ
こんなものを発明した奴は
発明するだけしておいてとっととくたばりやがって
エジソンだか何だか知らないが通り魔が背後からそっと忍び寄って撲殺しなかったことに大いに憤りを感じた
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