王様


わたしは高校生だった

いわゆる女子高生というやつだ

自分では自分のことを女子高生だなんて思わないけど

どうやら女子高生ってやつらしかった

………なるほどな

四時間目の授業が終わって昼食になった

わたしは王様に昼飯を買いに行かせた

「い~ち、に~い、さ~んっ」

早速、走り出す王様

舌を出してぜえぜえと呼吸している

わたしは教室で足を組み替えたりして待っていた

やっと王様が戻って来た

「うひーいうひーい」とか肩で呼吸をしていた

わたしは王様が買って来たチョココロネを頬張った

くいくいと手首で王様を呼んだ

王様はびくっとした

そんなに怯える必要ないじゃんね

よくやったねってお褒めの言葉を与えようと思っただけなのに

「もっと王様は王様らしく堂々としてなくっちゃね」

「そうですな」

王様は失った威厳を取り戻すよう言った

「ところで牛乳は?」

再び廊下を走り出す王様

教室に戻って来た時にはすっかり体積がしぼんでいた

可哀想に

まあいっか

牛乳を受け取ってストローを刺しちうちう吸った

(なにこれ?)

低脂肪乳?

全然、味がしないじゃん

王様は教室の床でへばって今にも死にかけ

さすがにこれ以上こき使うわけにもいかないな

だがちらちらと王様が下から自分のパンツを盗み見ていることに気付いた

「ふざけんじゃねーよ、エロじじい!」

蹴りを加えた

扇風機でもあればそこに顔面を突っ込んだりすることも出来るのだが

白い髭が絡まってかなりの痛手を与えることが可能だろう

わたしはその光景を想像し愉快になった

ああ

本当に王様を家来にして良かった


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