メロンパンマン


ぼくは

メロンパンマン

正義の使者

メロンのパンのマン

悪を倒すためにやって来た

けれどどれが悪かを見極める作業は本当に難しい

解りやすい悪なんてそれほどいない

「お前は悪か?」

頷いてくれれば作業は楽なのだが

顔が平らになるまでぶん殴るのだ

町を空から巡察した

ほとんどが良くも悪くもない人達だった

教えてくれ

悪と正義の比率が取り返しのつかない領域になってしまうその前に

窓越しに

次々と鳩が殺されていた

「やめろ!」

ぼくは止めに入った

けれどこの町は絶望的に鳩の糞害で苦しめられていた

ぼくには何も言えなかった

そんなとき

誰かに必要とされたくって

また町をうろついて人々に頭のメロンパンをお勧めしたりする

誰か

お腹が減っている人はいませんか?

ぼくのメロンパンを分けてあげるよ

きみは黙って受け取って

ぼくの前でそれをむしゃむしゃと食べるだけ

感想は無い

ぼく

メロンパンマン

誰か困っている人はいませんか?


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る