黒き死神が笑う日

ブラックホールゴミ箱

　特殊な技術を用いて開発された『ブラックホールゴミ箱』は発売されるや否や世界中で大ヒットし、ベストセラー商品となった。

　値段は1万円台と高めだが、底がブラックホールと繋がっていることを考えれば、お手頃な値段と言えた。

　捨てたゴミはブラックホールを通じて宇宙空間に放出される。そのため、ゴミ箱にゴミが溜まることもなく、ゴミ出しの必要はなくなった。『ブラックホールゴミ箱』が開発される前は、当たり前のように存在したゴミ出しの習慣は自然に消滅していった。

　またゴミ箱にスーパーの袋などを設置する必要もなく、エコ削減にも繋がる画期的な商品だった。

　その一方で、各国の政府は頭を抱えていた。世界中のゴミが大量に宇宙空間に放出されたことで、宇宙ゴミが増加したのである。宇宙ゴミと化した家庭内ゴミが宇宙ステーションに衝突することもままあった。

　だが、一番の問題はこのゴミ箱が死体の処理に利用されていることだった。