巨大な舌

 あどけない表情でスヤスヤと眠る少女のトレーナーが、まるで意志を持っているかのように蠢いて捲れ上がった。トレーナーの下から現れたのはだった。少女のへその上には大きな口があり、そこから巨大な舌が伸びていたのだ。

 巨大な舌は音を立てないように、冷蔵庫をゆっくりと開けると、大量の食材を鷲掴みにし、勢いよく口元まで運んで美味しそうに食べた。冷蔵庫内の食材を食べ尽くすと、巨大な舌は満足したように、口の中に戻っていく。それからトレーナーも元の位置に戻した。

 そうして数時間が経過し、窓から差し込む陽光で少女は目が覚めた。


「あれ? お腹が張ってる? 何で?」


 少女は不思議そうに首を傾げた。

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