ゴール

 私は両足に鉄球をつけた状態で道を歩いていた。両側は崖になっており、足を滑らせたら一巻の終わりだ。何が何でもゴールにたどり着かなければならない。生き返るためにはゴールする必要がある。

 私はおかっぱ頭の女性だけを殺しまくった挙句、被害者家族に報復されて死んだ。おかっぱ頭の女性をターゲットにした理由は、苛立つたびに暴力を振るってきた母親がおかっぱだったからだ。

 そんな人生を送ってきた私に、神様は足に鉄球をつけた状態でゴールすれば特別に生き返らせてやると告げてきた。上から目線だったのには腹が立ったが、神様の言葉を信じ、ゴールを目指しているところだ。

 歩き始めてからどれほどの時間が経過しただろうか。ようやくゴールが見えてきた。だが、ゴール直前で思わず足を止めてしまった。ゴールの手前で道が途切れていた。距離にして五メートルはあるだろうか。鉄球の重さを考慮すると、ジャンプしてもゴールまで届かない。

 神様は端から生き返らせる気なんてなかったんだ。そう思うと怒りが湧いてきたが、立ち止まっていても仕方がない。

 私は助走を取って思いっきりジャンプしたが、やはりゴールには届かなかった。急速に落下していく中で、神様は意地の悪い笑みを浮かべて私を見下ろしていた。

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