ぬか漬け
最愛の息子を亡くし、私は一人ぼっちになってしまった。夫はいない。雄太が生まれた時に離婚している。
私は心に空いた穴を埋める方法を必死で考えた。辿り着いた答えは己から生まれた命を自分に返すことだった。
そしてついに心に空いた穴を埋める日が来た。私の目の前には大きめの瓶がある。瓶にはぬか床が入っている。瓶の蓋を開けると、ぬか床に手を入れて、目当てのものを取り出した。
「久しぶりだね、
ぬか漬けとして生まれ変わった雄太は黄ばんでいた。ぬか床にずっと漬けていたからだろうか。
雄太のぬか漬けを食べやすいようにカットすると、皿に入れてテーブルに運んだ。
「いただきます」
私は雄太のぬか漬けをパクリと食べた。旨味が凝縮されていて美味しい。雄太が私の中に戻っていくのを感じる。雄太を妊娠した時のことを思い出す。
雄太のぬか漬けを完食した。
心に空いた穴は埋まり、私は――雄太と一つになった。
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