コレクターⅠ

 コレクターⅠ~Ⅲは共に同じ設定ですが、結末が微妙に違っています。ぜひ読み比べてみてください。


 


 私は家の地下に来ていた。

 地下は暗く、蛍光灯が二つ設置してあるだけだ。この方が雰囲気が出るからな。

 壁に設置してある棚に手を伸ばす。そこに並べられている瓶を取り出す。瓶の中には液体につけた人間の指が入っている。

「ふふふ、美しい。ああ、興奮する!」

 私は身体から、切断された指を眺めるのが趣味だ。

 家を出て、車に乗って少女を捜し、攫って家へと戻る。少女なのは、大人、少年に比べて力が弱いだろうと判断したからだ。中には大人、少年にも引けを取らない力を持つ少女もいるだろうけど。なるべく力が弱そうな子を選んでいる。

 少女を攫ったら、まずは口と両手と両足を縛る。それから鋸を取り出して指を一本ずつ切り取る。両手両足合わせて二十本を切り取っていく。

 作業が終わったら少女は用済みなので、近くにある崖へと車で行き、崖から海へと少女を縛ったまま突き落とす。

 家へと戻って、指をしゃぶりつくし、その後に液体で満たされた瓶へ入れる。これが私の日常。

 さて、今日も昨日と一昨日と同じように少女を攫って指を切り落とすか。

 私は家を出て、車に乗り少女を探す。周りを見回しながら車を走らせていると、少女を見つけた。私は即座に車を降りて少女に駆け寄っていく。

「ふふ~ん」

 少女は鼻歌を歌っていた。

 私は少女に掴みかかった。

「どわ! いきなり何すんじゃゴルァ!」

 へ? 何その口調? っていうかこのおぞましい感触は? 少女……じゃない? 女装少年?

 少年は私を思いっきり押した。バランスを崩し、後ろの壁へと頭を打って、意識が朦朧としていくのを感じる。

 そして最期に見たのは見覚えのある崖と、徐々に近づいてくる海面だった。 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る