第3話

佐伯の話をよく聞くと通っていたというのは、


1.ひいじいちゃんのいとこらしい。

2.顔が佐伯そっくり。

3.男声合唱部だったらしい。

4.卒業はできなかったらしい。


卒業できなかった……?どういうことだ?


「なんか、事故にあったらしい。」

「事故……。」

「ああ。詳しくはわかんねーけど。」


卒業できなかった。事故にあった。

じゃぁ、男声合唱部がなくなったのはこの人の事故が原因。

……もし、この人が生前から歌姫と呼ばれていたら。

一時声が聞こえなくなるのも頷ける。……と思う。

佐伯にしては有益な情報を持って来てくれたんじゃないのか。


「ありがとう佐伯。まぁ有益な情報だと思う。」

「それは……感謝してんのか?」

「してるさ。」


私なりにな。


さて、昼休みにしか出てこない歌姫さんとやらを、音楽室に張り込んで探そうかな。

いつもは外から見るだけだから。

そろそろ鍵借りに行こうかな。

……でも、吹奏楽部員でも合唱部員でも軽音とかもしてない、私なんかに鍵貸してくれるかな。


「なに?昼休みだけ鍵を借りたい?さすがに部員じゃないものにはなぁ……。」


やっぱりダメでした。

どうするかな。


「ゆうーーーちゃぁーーーん。」

「あ、まな。」


ピーン☼

そういえば、まなは吹奏楽部じゃん。楽器は何か知らないけど。

まなに借りればいいんじゃん。


「まな、昼休みになったら音楽室の鍵毎日貸してくんない?」

「いーよぉー。歌姫探しー?」

「そうそう。昼休みにしか出ないからね。」

「お昼ご飯はどうするのー?音楽室飲食禁止だからねぇー。」


そうだった……。お昼ご飯どうしようかな。

まぁ、多少食べなくても大丈夫か。

あれなら休み時間に食べればいいし。


「大丈夫だ、問題ない(`・ω・´)」

「おっけー。じゃぁ昼休みに渡すねぇ。」

「ありがとう、助かる。」


よし、音楽室の問題はこれで解消した。

あとは、歌姫を見つけるだけ。

まぁそれが一番の難題なんだけどな。

目撃情報は0。

声だけしか誰も聞いていない。

なんだかなぁ。幽霊なら、それはそれで目撃情報ありそうなのに。


不思議だよな。

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姿なき歌姫……? 柚雨。 @yuu_1527

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