概要
かつての栄華を捨てて残滓のように生き続ける人類を脅かすのは、過去の大災厄によって荒廃した土地、枯渇した資源、そして――「棺病」と呼ばれる不治の病。
現人類の統括、維持を掲げる宗教「巡礼教」の秘蹟官・ヒノエは、旅のさなかに出会った先史時代のアンドロイド・クガイと共にそんな荒廃した世界で旅をする。
彼女の背負った使命はただひとつ。
――その命を犠牲にして、詰みきったこの世界を救うことだ。
一つの世界が終わった後の、そこは枯れ木の枝の端先に等しい。
何もかもが焼き尽くされ、穢された後の、残滓の世界。
荒涼し、荒廃し、病と死とが蔓延る世界を救うため。
――少女は、死ぬために旅をする。
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可愛い子が不幸になったりならなかったりしなが
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ポストアポカリプス×サイバーパンク好きな方は是非!
人々に貢献するはずの機械達が創造主の人類に牙を剥き、結果文化も文明も何もかも滅んでしまった荒廃した世界。
生き残った人間達の導き手として浸透した世界宗教、その聖職者として各地を旅するのんびり屋だけど己の使命は決して忘れない少女。
千年前に機能停止したはずが何故か突然復活してしまった、戦闘用故に機微や情緒に疎い記憶喪失の青年型アンドロイド。
二人に同行する保護者ポジションで「先生」と呼ばれる浮遊通信端末(中の人有り)。
このポイントだけでもわくわくしますが、惹き込まれるプロローグを経てからの「記憶領域状況」「機体名」「先史人類」と、SF好きならテンション上がらずにはいられない単語がどんどん出…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少女とアンドロイドの、読み応えあるSF二人旅
荒廃した世界を旅する少女ヒノエと、アンドロイドのクガイが、様々な人々との出会いを通じながら心を通わせていく物語。
文明が崩壊した世界ということで、ときに重苦しい場面にも出会うものの、少女ヒノエの台詞や仕草はいつも可愛らしく、また徐々に心が揺らされていくクガイの姿には、どこかふしぎな温かみがきゅっと詰まっているお話です。あと個人的に、キューちゃんが可愛い!
SF系らしい、綿密だけど読みやすい機械描写。人々の生活感なども巧みに描かれていて、雰囲気もあり、お勧めです。
世界に蔓延する棺病の謎、ヒノエとクガイの記憶を巡る旅も含め、その結末まですべて書かれています。死ぬために旅をしていた少女は、最後…続きを読む - ★★★ Excellent!!!気軽に読めるミステリアスSF
棺病という正体不明の疾病、それと、機械や現代人類文明を先史と呼ぶ世界での、一人の少女が死ぬための旅をする物語。
全体的に読みやすく、すんなりと読み進められるのですが、ちゃんと設定や謎が組み込まれており、章ごとの内容もキャラの感情について書いています。
物語の中に出てくる設定も、違和感がなく受け止めて理解できます。しかし、それは決してつまらない設定ではなく、ちゃんと謎を持っています。その謎は、少女の旅の中で次々と解けていくのを読むのはすごく楽しいです。
特に第三章「戦争」で明かされたあの設定と、第五章「機械仕掛けの神はいない」の内容は、タイトルそのものに埋め込まれた意味を明かすところが良き。(…続きを読む