第七章 玉座を継ぐ者 --- 2

 昼間のうちにユーリアから延泊の許可を得ていたイスフェルは、夕食の後、自分の部屋にセディスとシダを呼んだ。やって来た二人の表情は、決して明るいものではなかった。朝から詳しい事情を聞かされないままのセディスは、待ちくたびれて半ばうんざりとしていたし、一方のシダは、近衛を辞めるという決意を固めたばかりである。

「何だ、どいつもこいつもシケたツラをして」

 ユーセットの言葉に、即座に二人は目を吊り上げた。

「いったい誰のせいだと思ってる!」

「オレはな、おまえらみたいに単純じゃないんだよっ!」

 丸椅子に音を立てて腰を下ろすと、シダは三人を見回した。

「丁度いい機会だから言っておく。オレは――」

 大きく息を吸い込み、彼は一気に言った。

「オレは王都に帰ったら近衛を辞める!」

 藍玉の瞳を見開くイスフェルの隣で、座り損ねたセディスが身体を固まらせた。

「おまえ、何を……」

 しかし、上座に座っていたユーセットがいきなり噴き出したものだから、セディスは呆気に取られて彼を見遣った。くつくつと笑い続ける年長の青年をイスフェルは諫めようとしたが、シダが額に青筋を浮かべて怒鳴る方が早かった。

「ユーセット、何がおかしい!!」

 その怒号に、ユーセットはいっそう口元を歪めた。

「いつまでその決意が続くかと思ってな」

「なに!?」

「よさないか、ユーセット」

 事情を知らない者をからかうユーセットをイスフェルが手で制している横で、セディスがシダに詰め寄る。

「おまえ、近衛を辞めてどうするつもりだ。オレたちとの夢は――」

「そのために近衛を辞めるんだ」

 シダには珍しく、内に怒りを溜めこむような言い方であった。セディスはそばにあった丸椅子に、つまずくように座り込んだ。

「どういうことだ……」

「近衛に居たら、どう足掻いたっていつかヤツのために働かなければならない。だが、他の部隊なら、王家の事情に近衛ほど囚われたりしない。おまえたちは、これからどんどん上に昇って行くだろう。それに付いていくためには、早いうちに他の場所で功績を上げるしかない」

「そして移った部隊の隊長が、おまえの意に添うような人物でなかったらどうする。また辞めて他の部隊に移るのか?」

 正面に座っていた友人から厳しい声が上がる。シダがその方を見遣ると、イスフェルが背もたれに身を委ねながら、藍玉の瞳で彼を貫いた。

「シダ。おまえ、甘いんじゃないのか?」

 シダが身体を強張らせるのを感じながら、イスフェルはなおも言った。

「目の前に高い壁ができたから迂回する、道がぬかるんでいるから引き返す、では結局何も成し得ない」

「じゃあ、どうすればいいんだよ! あんなヤツの身命を、生命を懸けて守れって言うのか!?」

 にわかに激した友人に、イスフェルはゆっくりと首を振って見せた。

「……オレは、おまえには近衛に居て欲しいと思ってる。オレたちの夢のために、そしてサイファエールのために」

「は! まさか、オレにヤツを懐柔しろなんて言わないだろうな。そんな夢物語!」

 ふいにセディスが居心地が悪そうに座り直した。それは、彼が王都を発つ以前、イスフェルに要求したことだったからだ。

 再びイスフェルは首を振った。

「おまえには、近衛で別のものを守ってもらいたいんだ」

「……別のもの?」

 イスフェルはちらりとユーセットを見た後、シダとセディスを交互に見て、言った。

「鷹の、雛だ」

「……雛?」

 シダの困惑顔に、セディスも同じような表情を浮かべてイスフェルを見返した。

 サイファエールにおける『鷹』とは王家を、特に国王を指す。その『雛』とくれば、王位継承者――王子のことに他ならない。

「何を言ってるんだ。イージェント陛下に王子はいらっしゃらない。改めて言うことでもないだろう」

 その時、ユーセットが背もたれから身を起こした。

「……それが、いらっしゃったんだ」

 目を点にしている二人に、彼はイスフェルから聞かされた国家の重要機密を淡々と語った。それを、イスフェルは祈るような気持ちで聞いていた。もし二人に彼のしようとしていることを咎められたら――。

(――いや、二人はきっとオレに力を貸してくれる。きっと……)

 果たして、それはシダの奇妙な笑い声によって報われることとなった。

「ハ……ハハ。ハハハハハハ。ハハハハハハ!」

 シダはふらりと椅子から立ち上がると、ゆっくりと両手を前に差し出した。

「見てくれよ、オレの手。嬉しくて……嬉しくて、震えてやがる」

「シダ……」

 気でも触れてしまったかのような友人に、イスフェルは少し息を呑んだ。

「こんな、こんな素晴らしいことってあるか……!? ああ、これは現実だ。やったぞ、オレは、オレは……!」

 両の拳を握りしめるシダを見て、ユーセットは首を竦めた。

「ほらな、もう近衛退団の話は白紙だ」

 軽口を叩くユーセットを睨み付けると、イスフェルはシダを宥めた。

「落ち着け、シダ。城内の人数は減ったが、どこで誰が聞いているとも限らない」

 そして、黙ったままのセディスに視線を遣ると、彼は落ちてきた前髪を払いながら、イスフェルの顔を見てにやりと笑った。話を聞いている最中は蒼白となっていた表情も、シダの様子を見ているうちに落ち着きを取り戻したのだろう、今では普段の状態に戻っていた。

「いきなり難破船の調査なんておかしいと思ったんだ。これから、その雛を迎えに行くんだろう?」

 イスフェルは深く頷くと、立ち上がって手を差し出した。

「一緒に、来てくれるか?」

「そのために、残したんだろ?」

 セディスは友人の手をがっちりと掴んだ。その上に、シダが手を重ねる。

「そうとも。オレは、このときを待っていたぞ!」

 しかし、イスフェルはシダの顔を見て首を振った。

「シダ、おまえはダメだ」

 友人の信じがたい言葉に、シダは我が耳を疑った。しかし、イスフェルの口から発せられるのは、やはり彼を拒絶する言葉だった。

「おまえがここに残留したのは何の為だ」

 シダは、はっとした。任務のことなど、忘却の彼方にあった。

「そ、れは……」

「セフィを、無事に王都に連れて帰ってくれ」

「だ、だが……!」

 本当なら、シダに付いてきてもらえたらどんなにいいか。しかし、彼が近衛に残ると決めた以上、勝手な真似はさせられない。

 激しく首を振るシダを、イスフェルは苦渋の思いで抱きしめた。

「気持ちだけで十分だ。王都に帰ったら、よろしく頼む」

 彼の計画に自分が入っていないことを痛感し、シダはそれ以上、何も言うことができなかった。



 重大な告白から一夜明け、太陽が地平線から顔を出す頃、イスフェルは城内にある礼拝堂に向かった。神に旅の安全と大願の成就を祈るためだ。

 先日まで礼拝堂で手当を受けていた負傷兵らは、五万の将兵らが退去して空いた部屋に移され、礼拝堂の中は普段の静けさを取り戻していた。イスフェルが祭壇に向かって歩いていくと、一番前の椅子にセフィアーナとリエーラ・フォノイが座って祈りを捧げていた。

「セフィ……」

 彼の声に、少女が顔を上げる。

「起きたりして大丈夫なのか?」

 心配そうな青年に、セフィアーナは微笑んだ。

「少し頭を打っただけだもの。もう平気よ」

「本当に?」

 イスフェルがリエーラ・フォノイを見遣ると、女神官は笑いながら頷いた。

「そうか。良かった……」

 自分の言葉に信用がないのかとセフィアーナは少しむくれたが、すぐに気を取り直して言った。

「朝のお祈りに来たの?」

「あ、ああ。旅の安全を祈りに……朝食の後、ここを発つ」

 セフィアーナは頷くと、小さく笑った。

「クレスティナ様が、あなたはお人好しだって」

「凱旋行進のことか。皆に言われた」

 麦藁色の頭を掻くイスフェルに、セフィアーナは大きく息を吐き出した。

「宰相補佐官って、本当にいろんなことをするのね」

「ああ、まったく……」

 藍玉の瞳に複雑な色が滲んだのを、セフィアーナは見逃さなかった。

「イスフェル?」

「ん?」

 しかし、それを問うことが、セフィアーナにはなぜかできなかった。

「――ううん、何でもない……」

 リエーラ・フォノイに先に部屋へ戻ってもらうと、少女はイスフェルの祈りが終わるのを待った。訊くことはできないが、かといって彼を独りにしてはいけないような気がしたのだ。

「……セフィ」

 祈りを終え、立ち上がったイスフェルは、聖旗を見上げたまま呟いた。

「もし、オレが……もしオレが良かれと思ってしたことが、人々に嘆きを与えてしまったら――」

 イスフェルは、複雑な色の消えた澄んだ瞳で少女を見た。

「オレは、この一生をかけて償おう。嘆きに代わる、歓びを与えるまで」

 そう言って穏やかに微笑むと、青年は少女に背を向けた。礼拝堂を出ていく彼の背が、なぜか故郷の谷で自分から去っていったカイルのものと重なって見え、セフィアーナは激しい胸騒ぎを覚えるのだった。



 イスフェルたちが出発の準備を整えて城門に向かうと、カイザールの城司将軍たるユーリアが数部隊の将兵たちとともに彼らを待っていた。

「将軍、わざわざ見送りに来て下さったのですか」

 イスフェルが近付いていくと、ユーリアは「勿論」と頷いた。

「この度の勝利は、おぬしの功績が大きいからな。凱旋行進に参加できないのであれば、せめてここで派手に送り出してやろうと思ったのだ」

「それは、ありがとうございます」

 嬉しそうに笑う青年を、ユーリアはふいに真顔で見遣ると、輪の中から城門の外へ連れ出した。旅立ちにふさわしく晴れ渡った空を見上げ、彼は呟くように言った。

「……いつまで蒼穹を保てるであろうな」

 その意味を察し、イスフェルは城門の入口にかかっている白銀鷹旗に視線を移した。

 青空に、神の光を受けて銀に輝く鷹――それが白銀鷹旗の由来である。鷹が舞う空の色は、斜陽の朱色でも、立ちこめる暗雲の灰色でもない。まして、悪鬼の横行する新月夜の漆黒では、決してない。

「将軍、あの色は永遠に変わりません。――少なくとも、私は変える気はありません」

 宰相補佐官のきっぱりとした物言いに、ユーリアはわずかに目を見張ると、小さく笑った。

「……そうか、そうだな」

 この数日間、次々代の国王をうかがう人間の狭量さをまざまざと見せつけられ、軍を預かる人間として、湧き起こる不安をなんとか抑えてきた。

(パレスの側にあの馬がいないと気付いた時から、嫌な予感はしていたが……)

 リグストンの悪名は、このタスク地方にも少なからず届いていたが、それがこの城で決定的になろうとは思いも寄らなかった。

「将軍」

 イスフェルの声にユーリアが顔を上げると、青年は再び言った。

「私は、決して変えませんよ」

 その時、

「なにを二人でこそこそと話をしているのです?」

 城内から出てきたクレスティナが、腰に手を当てて二人を代わる代わる見遣った。

「ああ、いえ、将軍が王都に残されている御家族をとても心配していらっしゃるので、宥めていたのです」

「な、イスフェル、おぬし……!」

 ごまかすにも他に言い方があろう、と彼の目が語っている。イスフェルは思わず首を竦めた。

「それは結構なことです。けれど、奥様は残念ながら――」

「な、何だ」

 深刻そうな物言いに将軍が眉間にしわを刻むと、女騎士はにわかに明るく言った。

「多趣味な方でいらっしゃいますので、寂しい思いはしていらっしゃらないようですよ。貴婦人や御令嬢をお屋敷にお招きして手扇作りをしたり、神殿へ行かれたり。この間、メルジア様のお部屋でお会いしましたが、それはお元気そうでした」

「………!」

 からわかれたと知り、憮然とした表情で城内に戻っていくユーリアを笑いながら、クレスティナはイスフェルをちらりと見て言った。

「気を付けて行くのだぞ」

「……はい」

 その時、城門の上から角笛が鳴り響いた。出立の合図となっている旋律が、平原に響き渡る。イスフェルはユーセットが引いてきた馬に乗ると、見送りに来てくれた人々を振り返った。

「それでは、またお会いする日まで!」

 胸に拳を当て、彼らに向かって叫ぶと、馬腹を蹴って走り出した。ユーセットとセディスがそれに続く。

 三人の砂煙が地平の彼方に遠ざかっていくのを、シダは城門の上から見送った。彼らとともに行けない悔しさが、彼の胸の内に激しい焦燥を駆り立てていた。

(王子の迎えに、近衛であるオレが行けないなんて……!)

 彼は城壁に向かって拳を振り下ろした。それを偶然、目撃したのは、自室からイスフェルを見送ったセフィアーナだった。



「……クレスティナ様」

 蝋燭が揺れる中、広げるだけで読んでいなかった《聖典》を綴じると、セフィアーナは円卓で剣を磨いている女騎士に話しかけた。

「イスフェルたち、何かあったのですか……?」

「何か、とは?」

 手を止め、怪訝そうなクレスティナに、セフィアーナは礼拝堂でイスフェルに言われたことや、シダが城壁に拳を叩きつけていたことを語った。

「――私、なんだか胸騒ぎがするんです」

 しかし、クレスティナは首を振った。

「そなたが気にすることはない。シダは昔からイスフェルと共に在ったから、ひとりだけ残されたことに拗ねているのだろう。まったく、近衛ともあろう者が」

 クレスティナは剣を鞘にしまうと、椅子から立ち上がった。

「さて、馬の様子でも見てくるか。謹慎など初めてだから、何をしていいのかわからん」

 部屋を出ていく女騎士を見て、セフィアーナはますます疑いを深めた。磨かれていた剣がまだ途中だったことに、彼女は気付いていたのである。

 一方、少女の内心を知ってか知らずか、部屋を出たクレスティナは、望楼でひとり夜空を見ていたシダを探し出すと、紅蓮の瞳で睨み付けた。

「いつかおぬしには言わねばなるまいと思っていたが」

「……何です?」

 初めて見る小隊長の表情に、シダは気圧されたように後ずさった。

「おぬしがイスフェルと友人の契りを交わし、かつ夢を共有していることを知っている上で、敢えて言う。おぬしはイスフェルに依存し過ぎる。おぬしは近衛兵団に名を連ねる者だ。それを忘れるな」

 思い当たる節があったのだろう。シダはわずかに息を呑むと、さっとクレスティナから顔を背けた。その彼の手を、クレスティナは強引に取った。セフィアーナの言った通り、指の関節部分に黒ずんだ血がこびりついている。

「……まさかとは思っていたが」

 懐から塗り薬を取り出し、それを患部に塗ってやりながら、クレスティナは溜息をついた。

「イスフェルは、巣へ行ったのだな」

 途端、シダが目を剥き、彼女から飛び離れた。開いた口が何かを言おうとするが、言葉が出てこない。

「何をしている。まだ途中だ」

 クレスティナが眉根を寄せて手を出すように要求すると、シダは見る間に顔を紅潮させて怒鳴った。

「しょ、小隊長! 貴女は……!!」

 シダはおもむろに首を振った。彼女がその重大な秘密を知っているということにも驚いたが、それより何より、それを知りながら、平静とこの城に残っていることが信じられなかった。

「『貴女は』――何だ」

 仕方なく腕を組むクレスティナに、シダは喰ってかかった。

「雛の迎えは本来、近衛の仕事であるはずです! それを、指をくわえて見てるだけなんて……! 小隊長は何とも思わないんですか!?」

 しかし、それに応えた女騎士の声は、氷のように冷たかった。

「言いたいことはそれだけか」

「な……」

「おぬし、イスフェルの話を聞いていなかったのか? イスフェルが迎えに行くというのは、イージェント陛下の御意である。それを、近衛の我々が蔑ろにしろと?」

「………!」

 言葉を失って俯く新人に、クレスティナは上官として言葉を次いだ。

「近衛だからという理由で勝手に動いて、もし彼の御方を危険にさらすようなことになれば、何とする。そこまで逸る理由――穿った考えを言うようだが、 おぬしは雛が一番最初に見るものに、自分がなりたいのではないのか」

「なっ何を!!」

 思わず剣の柄を握りしめるシダに、クレスティナは嘲笑をもって返した。

「抜きたかったら抜くがよい。近衛を夢のための手段としか考えていないような輩、このクレスティナが今ここで斬り伏せてやる」

 シダはしばらくの間、全身をぶるぶると震わせていたが、唇を強く噛むと、どうにか怒りを収めた。ここで剣を抜いたところで何もならないことは、彼自身、よくわかっていた。

「……小隊長は、近衛を辞めたいと思ったことはないんですか」

「なんだ、藪から棒に」

 クレスティナが真っ暗な地平を見つめるシダの横顔を見遣ると、彼は先程とは打って変わって静かに話し始めた。

「オレは、パレス殿の馬の一件から、自分が近衛に居ることが毎日嫌で嫌でたまりませんでした」

「辞めるかもしれないと、以前、私に言ったな」

「……この戦が終わって王都に帰ったら、辞めるつもりでした」

 クレスティナは首を振った。

「近衛を辞めてしまったら、おぬしはイスフェルの夢に参加できなくなるかもしれないではないか」

「オレには、オレが近衛に居ることこそが、オレたちの夢に仇なすことだと思えたんです」

「……そこへ雛の出現、か」

 溜息をつく小隊長に、シダは少し語調を強めた。

「オレだって、好きで入った近衛です。できることなら、辞めたくない」

 王子を無事に王都へ連れ帰ることができたら、彼は近衛を辞めずに済む。今まで通り、イスフェルとセディスと、自分たちの理想に向かって走ることができるのだ。決して、王子に恩を売り、操るためなどではない。

「もういい。私も言い過ぎた」

 クレスティナは再びシダの手を取ると、途中だった手当を再開した。

「……いえ。オレの考えが甘かったんです。イスフェルにも言われました」

 一時の感情に駆られ、シダはもう少しで大切なものを失うところだった。昔から、そんな彼を叱咤し、励ましてくれるのがイスフェルだった。

「あいつが大変な時にそばにいてやれないのはオレもつらいですが、オレはオレの仕事をします。でないと、オレが近衛に居る意味がない」

「……そうだな」

 軟膏を塗ってやりながら、クレスティナはふと思った。もしかしたら、彼女が近衛を辞めないのも、イスフェルのせいかもしれない、と――。



 ふたりはまるで気が付いていなかった。望楼に上がる階段の影に、セフィアーナが隠れていたことを。彼女は蜜蝋色の髪を翻して自室に戻ると、リエーラ・フォノイに何事かを相談した。

 そして翌日、事件は起こった。《太陽神の巫女》が同行の女神官とともに行方を眩ませたのである。部屋に残されていた書き置きには、『イスフェルに忘れ物を届けに行きます』と書かれてあった。

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