第16話彼女の香水をつけて寝た

16 病床日記(いつか青空)

P 1961.8.13 Sunday 熱6.1~7

●彼女の来ない夜。

●寂しい。

●悲しいほど寂しい。

●独り六面体の病室に閉じ込められている。格子なき牢獄だ。

●物憂くあたりを見回しても、ここにいるのは虜囚のぼくだけだ。

●彼女はいない。

●彼女は健康な日常の中にいる。

●忙しく働いているのだから毎晩来てくれることを望むほうがムリだ。

●この部屋に彼女がいまいれば、どんなにうれしいだろう。

●……彼女のことばかり想っている。

●ぼくは子どものようになってしまう。

●彼女をこの腕で抱きしめたい。

●階段を上ってくる音がすると、彼女かとbedに起きあがる。

●しかし、今夜は彼女はついに来なかった。

●ほんとうに、寂しかった。

●彼女の置いていった香水を手につけて寝た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る