第11話 いつか青空

11 いつか青空 1961.8.8 火曜日

● 熱5.8~7.5

●シナリオ研究所での友だちになんどか手紙を書こうとする。出来ない。

●北村篤子さんのドラマは毎週どこかのチャンネルでオンエアーされている。このところ、病室にいるので観られない。残念だ。

●松元、野口、板坂、和田の諸兄、精進しているのだろうな。明日のシナリオライターを目指してがんばっている友だちに、病気になった泣きごとなんか書いてやるわけにはいかない。

●なんで病気になってしまったのだ。健康には自信があったのに、なんというテイタラクだ。くやしい。悔し涙で枕をぬらす。

●大野寛君が見舞いに来てくれた。「蟹の会」で知り合った宇都宮大学の文芸部の学生だ。すばらしい才能をしている。ぼくより5歳くらい年下だ。

●美智子さんはこなかった。お勤めがあるのだから、毎日は無理だ。

●ぼくとのことで、親に反対されているだろう。かわいそうに。

●ぼくらは結婚できるのだろうか。病気が治って、彼女と結婚できたら30歳まで生きられればいい。どうか神様、彼女と結婚できますように。

●彼女のこと愛しています。結婚できれば、死んでもいいと思うほど、愛しています。すきです。すきです。

●ぼくに、ひとりの女性をこれほど想う、愛する気もちがあったなんて、おどろきだ。

N 2008.10.14 火曜日

○タイトル。「いつか青空」にした。まだ「恋空」読んだ感動からぬけきらない。

○日曜大工の店「カンセキ」までカミサンと出かけた。愛猫ブラッキーの餌を買うためだった。

○彼女と結婚できれば30歳で死んでもいいと神頼みしたのに。まだまだ元気だ。神さまに感謝しなければ。大きなリックを背負って街を歩けることに感謝。

○カンセキでは、ほかにFLの「アイスバーグ」を買った。昨年、枯れてしまった。それを美智子さんは嘆いていた。

○別名「白雪姫」とも呼ばれるこの薔薇との再会に、彼女は目をきらきらさせてよろこんでいた。

○彼女のよろこぶ顔をみるのがわたしは好きだ。

○「いつもいっしょで仲がいいですね」

○街を歩いていると知らない人にまで声をかけられる。

○わたしたちはすでに、鹿沼のレヂェンドとなっている。毎日連れだって50年も街を散策していれば狭い町だ。すぐ評判になる。


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