第6話 6対6 あるいは11と1
「どうも、音声、聞こえてる?」
「……タカヒロか?」
「うん。みんなもいるよ」
「ケンイチさん、マイさん、ミツエさん、グループ通話で参加。メイコさん、リョウコさんもそれぞれ通信を聞いていますよ」
「ユキさん、久しぶり。みんな勢揃いでどうしたの? 」
「最後の集いだから、みんなで成り行きを見守ろうって、ノブオくんが」
「最初から聞いてたからね。事情はみんな、把握しているわ」
締めくくりには投げやりな女性の声がスピーカーから漏れてきた。
「メイコさん、事情は分かりました。ノブオさん、後でじっくり話を」
バン、バン、バンッ。
見えない銃を撃ちまくる。
なにも吹き飛ばない。むしろ囲まれる。
「……これは一体なんなんですか」
「サポートメンバー全員集合です」
間抜けな声を出さないよう、 なんとかこらえた。
「集いの行く末をメンバーが気にしていたようですね。この病院は近く取り壊され、集いもこれが最後ですから」
「ご託はいいんだよ、それより盗み聞きしてた奴らがわんさか出てきたんだ。採決はやり直しだろ?」
セイゴの強引さは、嫌がおうにも流れを変える。
「そうですね。ではもう一度決をとりましょう」
私はうなずく。
これだけの人数が、死ぬべきと言うのなら、心は残さず消えていける。
「マキさんが死ぬべきと思う人は挙手及び発声を」
一呼吸おき、結果が出た。
賛成、アンリ、ノブオ、サトシ、メイコ、リョウコ 。
「僕たちは全員反対だ」
反対票の多くは、グループ通話を主導しているケンイチが無機質に伝えた 。
気に入らない。
声だけで、安全圏から、私の何を知っている。
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